包括的歯科治療診断により変則的抜歯を選択したリンガルブラケット矯正治療について
近年、矯正治療が普及してきたことにより成人矯正症例が増加してきている。成人矯正は成長期の矯正治療と比較すると顎骨の成長を利用できないこと、カリエス、歯牙の欠損、歯根吸収、修復処置など個々の歯牙の問題が多いこと、さらに歯周疾患、顎関節症の罹患頻度も高いことに加え、より審美性の高い矯正治療の要求や治療機関等の社会的要因など、様々な問題点を有する。従来ならば、矯正専門医は単独で治療計画を立ててきたが、成人患者を矯正治療する場合は、補綴、歯周治療、口腔外科などの専門医と協力しあうチームアプローチによる包括的歯科治療という観点から矯正治療を進めなければならない。今回、チームアプローチによりリンガルブラケ...
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Published in | 日本舌側矯正歯科学会会誌 Vol. 2010; no. 21; pp. 52 - 62 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本舌側矯正歯科学会
2010
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1883-6216 1884-538X |
DOI | 10.11284/jjloa.2010.52 |
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Summary: | 近年、矯正治療が普及してきたことにより成人矯正症例が増加してきている。成人矯正は成長期の矯正治療と比較すると顎骨の成長を利用できないこと、カリエス、歯牙の欠損、歯根吸収、修復処置など個々の歯牙の問題が多いこと、さらに歯周疾患、顎関節症の罹患頻度も高いことに加え、より審美性の高い矯正治療の要求や治療機関等の社会的要因など、様々な問題点を有する。従来ならば、矯正専門医は単独で治療計画を立ててきたが、成人患者を矯正治療する場合は、補綴、歯周治療、口腔外科などの専門医と協力しあうチームアプローチによる包括的歯科治療という観点から矯正治療を進めなければならない。今回、チームアプローチによりリンガルブラケット矯正治療を行った4症例について報告する。これらの症例は包括的歯科治療の観点から、複数の専門医による診断のもと保存不可能な歯を選択し、その結果をもとに矯正専門医が診断を行い変則的な抜歯部位を決定した。特に舌側矯正治療では、成人患者が多い為、各分野の専門知識を共有し、コンセプトをすり合わせた上での治療目標の設定と治療計画が重要であると考えられる。 |
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ISSN: | 1883-6216 1884-538X |
DOI: | 10.11284/jjloa.2010.52 |