当院における双胎妊娠の分娩様式と考察

経腟分娩を希望する多胎妊娠の患者には少なからず遭遇する。しかし,経腟分娩を安全に遂行できる基準について,一定の見解は見当たらない。そこで今回我々は過去7年間の当院の双胎妊娠症例を,試験経腟分娩群と予定帝王切開群に分類した上で,分娩時の母体および新生児合併症について後方視的に検討し,両群間の安全性を比較・検討したので報告する。2009年1月~2015年12月の7年間に当院で分娩した双胎妊娠159例のうち,一絨毛膜二羊膜性双胎45例,母体または胎児合併症のため緊急帝王切開を施行した40例を除く74例を対象とした。予定帝王切開群は56例(76%),試験経腟分娩施行群は18例(24%)であった。試験経...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 67; no. 6; pp. 678 - 682
Main Authors 水戸, 裕二朗, 田口, 圭祐, 秋葉, 靖雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2019
日本農村医学会
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.67.678

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Summary:経腟分娩を希望する多胎妊娠の患者には少なからず遭遇する。しかし,経腟分娩を安全に遂行できる基準について,一定の見解は見当たらない。そこで今回我々は過去7年間の当院の双胎妊娠症例を,試験経腟分娩群と予定帝王切開群に分類した上で,分娩時の母体および新生児合併症について後方視的に検討し,両群間の安全性を比較・検討したので報告する。2009年1月~2015年12月の7年間に当院で分娩した双胎妊娠159例のうち,一絨毛膜二羊膜性双胎45例,母体または胎児合併症のため緊急帝王切開を施行した40例を除く74例を対象とした。予定帝王切開群は56例(76%),試験経腟分娩施行群は18例(24%)であった。試験経腟分娩の成功例は11例,不成功例は7例であったが,両群の母体背景として,経産数以外での年齢・身長・BMI・在胎週数には有意差を認めなかった。新生児予後としては,先進児・後続児それぞれにおいて,出生体重・臍帯動脈血pH・Apgarスコア・気管挿管症例数・新生児死亡数にも有意差を認めなかった。初産婦より経産婦の経膣分娩成功率が高い結果となった。特に経産婦においては頭位―非頭位であっても経膣分娩は全て成功した。経腟分娩成功・不成功例の新生児予後の比較でも,有意差を認めなかった。双胎妊娠の経腟分娩において成功・不成功例を問わず,児の合併症の発生数を増加させなかった。
ISSN:0468-2513
1349-7421
DOI:10.2185/jjrm.67.678