大腿骨近位部骨折術後クリニカルパス改訂の取り組みとその効果

クリニカルパス(以下、パス)は定期的に見直すことが必要とされているが、バリアンスの収集・集計・分析が課題となることが多い。当院の大腿骨近位部骨折パスは、高齢者(65歳以上)または高齢者以外かによって分類されていたが、大腿骨近位部骨折は高齢者に多い骨折であり、術後歩行能力に影響を与える要因として、受傷前の歩行能力や日常生活動作(Activities of Daily Living:以下、ADL)能力が挙げられる。当院ではアウトカム評価において未達成となることが多く、パスを適用しているにもかかわらず業務が非効率的なものとなっていた。その原因を探るため、在院日数やバリアンス等について調査した結果、当...

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Published in日本クリニカルパス学会誌 Vol. 25; no. 1; pp. 16 - 22
Main Authors 佐々木, 涼子, 西尾, 孝一, 赤羽, 弘泰, 小泉, 孝範, 齋門, 良紀, 狩野, 修治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本クリニカルパス学会 24.03.2023
日本クリニカルパス学会
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Summary:クリニカルパス(以下、パス)は定期的に見直すことが必要とされているが、バリアンスの収集・集計・分析が課題となることが多い。当院の大腿骨近位部骨折パスは、高齢者(65歳以上)または高齢者以外かによって分類されていたが、大腿骨近位部骨折は高齢者に多い骨折であり、術後歩行能力に影響を与える要因として、受傷前の歩行能力や日常生活動作(Activities of Daily Living:以下、ADL)能力が挙げられる。当院ではアウトカム評価において未達成となることが多く、パスを適用しているにもかかわらず業務が非効率的なものとなっていた。その原因を探るため、在院日数やバリアンス等について調査した結果、当院のパスは年齢による分類であることにより受傷前から歩行能力やADL能力が低下している症例でアウトカムが達成されにくいこと、またパスが作成されて以降長期間経過しており、パスが現在の病院の機能に合っていないことなどが問題点として挙げられた。このようなパスの問題点に対応すべく、多職種での協議を経てパスの改訂と適切なアウトカムを設定し、改訂後のパスの妥当性を検討した。その結果、在院日数が有意に短縮するとともに、アウトカム達成率は増加傾向となり、バリアンス発生率は減少傾向となった。適切にパスを運用するためには、定期的な現状把握によるパスの改訂が必要であり、それを可能とする体制の構築が不可欠であることが示唆された。
ISSN:2187-6592
2436-1046
DOI:10.50842/jjscp.25.1_16