在宅重症心身障害児を養育する家族の家族機能

重症心身障害児(以下,重症児)との生活は,家族全体の生活に大きな変化をもたらすため,看護師は家族の家族機能を理解したうえで,家族支援を行うことが重要である.本研究は,在宅重症児を養育する家族の家族機能を明らかにすることを目的とし,訪問看護ステーションを利用している重症児を養育する10家族を対象に,半構造化面接を行った.質的帰納的内容分析の結果,在宅重症児を養育する家族の家族機能として,【母親を中心に家族で行う重症児へのケア】【母親を中心に夫婦で行う家事の実施】【母親を中心に夫婦で行うきょうだい児を含む子育ての実施】【父親を中心とした経済的基盤の維持】【重要他者からの家族ニーズ充足のための支援の...

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Bibliographic Details
Published in家族看護学研究 Vol. 30; pp. 62 - 75
Main Authors 田中, 勝治, 宮原, 真二, 平谷, 優子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家族看護学会 31.03.2025
日本家族看護学会
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ISSN1341-8351
2758-8424
DOI10.60320/jarfn.30.0_62

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Summary:重症心身障害児(以下,重症児)との生活は,家族全体の生活に大きな変化をもたらすため,看護師は家族の家族機能を理解したうえで,家族支援を行うことが重要である.本研究は,在宅重症児を養育する家族の家族機能を明らかにすることを目的とし,訪問看護ステーションを利用している重症児を養育する10家族を対象に,半構造化面接を行った.質的帰納的内容分析の結果,在宅重症児を養育する家族の家族機能として,【母親を中心に家族で行う重症児へのケア】【母親を中心に夫婦で行う家事の実施】【母親を中心に夫婦で行うきょうだい児を含む子育ての実施】【父親を中心とした経済的基盤の維持】【重要他者からの家族ニーズ充足のための支援の取り入れ】【家族の負担軽減のための社会資源の活用】【母親による周囲との調整】【家族の余暇・娯楽ニーズの充足】【家族間の情緒的絆の強化】【夫婦で行う家族の未来に向けた取り組み】の10カテゴリー,38サブカテゴリーが抽出された.対象家族には,重症児のケア提供に伴う家族の負担がある一方で,家族の絆が強固になるなど強化された家族機能も確認できた.看護師は,家族の負担軽減を支援するだけではなく,家族の余暇・娯楽ニーズの充足を支援するなど,在宅生活を継続するモチベーションの維持を支援することが重要である.
ISSN:1341-8351
2758-8424
DOI:10.60320/jarfn.30.0_62