CTで術前診断した鼠径ヘルニアに起因する続発性大網捻転の1例

症例は56歳,女性.腹痛を主訴として来院した.下腹部を中心に自発痛と,腹膜刺激症状を認め,血液生化学検査で炎症反応の高値を認めたため,急性腹症の診断で緊急入院となった.腹部CT検査で,左下腹部に高吸収域の部分を中心とした渦巻き状の層状構造,その周囲の脂肪織の濃度の上昇と連続する左鼠径ヘルニアを認めた.左鼠径ヘルニア嵌頓に起因する続発性大網捻転症と診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察すると,術前画像通り,左鼠径ヘルニア内に大網の末梢が嵌頓しており,それによって大網が時計方向に2回転して壊死していた.小開腹創から大網切除を,またMesh Plug法で鼠径ヘルニア根治術を施行した.術後経過は良好...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 73; no. 12; pp. 3309 - 3314
Main Authors 幸田, 圭史, 小杉, 千弘, 海野, 俊之, 今井, 健一郎, 山崎, 将人, 手塚, 徹, 安田, 秀喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2012
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.73.3309

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Summary:症例は56歳,女性.腹痛を主訴として来院した.下腹部を中心に自発痛と,腹膜刺激症状を認め,血液生化学検査で炎症反応の高値を認めたため,急性腹症の診断で緊急入院となった.腹部CT検査で,左下腹部に高吸収域の部分を中心とした渦巻き状の層状構造,その周囲の脂肪織の濃度の上昇と連続する左鼠径ヘルニアを認めた.左鼠径ヘルニア嵌頓に起因する続発性大網捻転症と診断し,緊急手術を施行した.腹腔鏡で観察すると,術前画像通り,左鼠径ヘルニア内に大網の末梢が嵌頓しており,それによって大網が時計方向に2回転して壊死していた.小開腹創から大網切除を,またMesh Plug法で鼠径ヘルニア根治術を施行した.術後経過は良好で術後8日目に軽快退院となった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.73.3309