発表論文と研究資金からみたマラリア研究のゆがみ
「I. 科学研究をコントロールするには」 科学政策や研究目標の設定にあたり, 研究動向を生産論文数から検討することは, 有効な方法である. 発表論文は, 研究活動を反映しており, 国や時代による違いや特徴が示されるだけでなく, これまでの研究目標の誤りやゆがみを明らかにしてくれる. 1990年代中頃に, アメリカだけでなく, EUや日本で, 科学文献データベースを利用した発表論文数の大規模な調査がなされた1), 2). 継続的に行われている全米科学財団(National Science Foundation)の結果をみると, アメリカ, イギリスなどの先進国では, 研究の中心が理工学から生命科...
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Published in | 医学図書館 Vol. 55; no. 3; pp. 229 - 234 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本医学図書館協会
2008
日本医学図書館協会 |
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ISSN | 0445-2429 1884-5622 |
DOI | 10.7142/igakutoshokan.55.229 |
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Summary: | 「I. 科学研究をコントロールするには」 科学政策や研究目標の設定にあたり, 研究動向を生産論文数から検討することは, 有効な方法である. 発表論文は, 研究活動を反映しており, 国や時代による違いや特徴が示されるだけでなく, これまでの研究目標の誤りやゆがみを明らかにしてくれる. 1990年代中頃に, アメリカだけでなく, EUや日本で, 科学文献データベースを利用した発表論文数の大規模な調査がなされた1), 2). 継続的に行われている全米科学財団(National Science Foundation)の結果をみると, アメリカ, イギリスなどの先進国では, 研究の中心が理工学から生命科学へシフトしており, ロシア・東欧などでは化学や物理学に力点がおかれ, 医学に代表される生命科学は弱いままである. アジアなどの開発途上国では, 国作りの基盤を支える工学領域が中心になっている3). また, 国民の科学政策への要望は, 先進国では医療や教育, そして老齢化問題などに関心が向いている. |
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ISSN: | 0445-2429 1884-5622 |
DOI: | 10.7142/igakutoshokan.55.229 |