顎変形症治療と咀嚼筋

「1. 緒言」顎変形症と咀嚼筋が密接な関係にあることは言うまでもない. 古くから, 下顎骨成長と筋機能の関係が指摘され, 筋機能の異常によって下顎骨の偏位や形態異常が生じた例が報告されている. また下顎骨に対する顎矯正手術時の筋と骨片間の干渉は, 術後の近位骨片や咬合の安定と密接な関係にあり, 術中の筋剥離が必要な症例がある. さらに, 術後安定性には, 咀嚼筋が術後の顎骨の位置に十分適応することが必要と考えられている. そこで本論では, 顎変形症の診断・治療における咀嚼筋に関して, われわれの取り組みを紹介する. 「2. 下顎前突症例の下顎枝矢状分割術における内側翼突筋と近位骨片の干渉」明海...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 1 - 4
Main Authors 須田, 直人, 大塚, 雄一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 2024
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd.34.1

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Summary:「1. 緒言」顎変形症と咀嚼筋が密接な関係にあることは言うまでもない. 古くから, 下顎骨成長と筋機能の関係が指摘され, 筋機能の異常によって下顎骨の偏位や形態異常が生じた例が報告されている. また下顎骨に対する顎矯正手術時の筋と骨片間の干渉は, 術後の近位骨片や咬合の安定と密接な関係にあり, 術中の筋剥離が必要な症例がある. さらに, 術後安定性には, 咀嚼筋が術後の顎骨の位置に十分適応することが必要と考えられている. そこで本論では, 顎変形症の診断・治療における咀嚼筋に関して, われわれの取り組みを紹介する. 「2. 下顎前突症例の下顎枝矢状分割術における内側翼突筋と近位骨片の干渉」明海大学病院で, 下顎前突症例に対して施行される下顎枝矢状分割術は, HunsuckとSimpsonが報告したshort lingual osteotomy (SL)が多い. SLでは, 下顎枝内側の遠位骨片の後方分割部が, Obwegeser原法(Ob)やObwegeser-Dal Pont法(Ob-D)と比較して前方で下顎孔のわずか後方となる.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd.34.1