シロスタゾールにより洞結節機能改善とともにペースメーカシフトが確認された両結節機能障害の1例

• Published in: 心電図 Vol. 23; no. 6; pp. 639 - 646
• Main Authors: 田中, 秀之, 外川, 潔, 榎本, 光信, 鈴木, 一隆, 山路, 聡志, 八木, 洋, 上松瀬, 勝男, 高世, 秀仁, 深水, 誠二, 鈴木, 輝彦, 横山, 勝章, 木村, 卓郎, 今井, 忍, 松平, かがり, 永島, 正明, 春日井, 正
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2003; 日本心電学会
• Subjects: シロスタゾール; ペースメーカシフト; 一過性心停止
• ISSN: 0285-1660; 1884-2437
• DOI: 10.5105/jse.23.639

73歳男性.洞不全症候群にWenckebach型房室ブロツクを合併し, 眩暈, 眼前暗黒感を認める症例にシロスタゾールが著効した1例を経験した.シロスタゾール (200mg/日) 内服前後でHolter心電図検査, 神経体液性因子の測定, および洞結節電位直接記録を含めた電気生理検査 (EPS) を施行し, 心腔内超音波装置により洞結節電位記録部位の観察を行った.シロスタゾール内服によりHolter心電図上, 1日総心拍数および最小心拍数は増加, 一過性心停止回数は著減し最大心停止時間は短縮した.また, 脳性ナトリウム利尿ペプチドは正常化した.EPS上洞結節記録部位は上方へ偏位し, 内因性固有心拍数は増加した.内服前心房頻回刺激により高度洞房ブロックを伴い洞結節回復時間は著明に延長していたが, 内服後は洞房伝導は改善し洞結節回復時間は著明に短縮した.一方, 房室伝導能は内服前後で明らかな変化は認めなかった, シロスタゾールは, 洞結節に対して陽性変時作用のみならず, 洞房伝導への陽性変伝導作用を有すると考えられた.