肝外門脈閉塞症における胆道造影所見の検討

胆道系疾患が肝外門脈閉塞症の原因になることはすでに知られている. 一方, 近年本症の経過中に閉塞性黄疸,胆管炎,胆管結石などを合併したとの報告が散見されるが,その詳細は必ずしも明らかではない.そこで今回,その成立に胆道系疾患が関与しない肝外門脈閉塞症11例に胆道造影を施行して, 肝内外胆管の形態の変化を観察するとともに,各種門脈造影によって得られる肝内外門脈閉塞の状態との関連を検討した.その結果,11例全例に中下部胆管を中心に2~4mmの狭窄を,7例には狭窄部より肝側の胆管に10mm以上の拡張を認め,これが本症の肝十二指腸間膜内に発達する求肝性側副血行路に起因するものであると考えられた.さらに...

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Published in胆道 Vol. 10; no. 2; pp. 113 - 123
Main Authors 二川, 俊二, 深沢, 正樹, 別府, 倫兄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1996
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando1987.10.2_113

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Summary:胆道系疾患が肝外門脈閉塞症の原因になることはすでに知られている. 一方, 近年本症の経過中に閉塞性黄疸,胆管炎,胆管結石などを合併したとの報告が散見されるが,その詳細は必ずしも明らかではない.そこで今回,その成立に胆道系疾患が関与しない肝外門脈閉塞症11例に胆道造影を施行して, 肝内外胆管の形態の変化を観察するとともに,各種門脈造影によって得られる肝内外門脈閉塞の状態との関連を検討した.その結果,11例全例に中下部胆管を中心に2~4mmの狭窄を,7例には狭窄部より肝側の胆管に10mm以上の拡張を認め,これが本症の肝十二指腸間膜内に発達する求肝性側副血行路に起因するものであると考えられた.さらに,肝内胆管には6例に拡張を,7例には胆管壁のなだらかな凹凸による胆管径の不整や走行の彎曲化を認めることから,肝外門脈閉塞症においては高頻度に胆管狭窄や,それによる潜在的な胆汁鬱滞が存在する可能性が示唆された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.10.2_113