左上葉スリーブ切除後末梢側気管支に壊死性気管支炎を起こした症例
気管・気管支形成術後の合併症は,主として吻合部に発生する。今回われわれは,吻合部末梢側に壊死性気管支炎を起こした症例を経験したので報告する。症例は65歳男性で,喀痰細胞診で扁平上皮癌と診断され,気管支鏡検査で左B^3から上葉入口部に進展していることが判明した。左上葉スリーブ切除を行ったが,珪肺症のため肺動脈とリンパ節とが強固に癒着しており,肺動脈処理のため広範な気管支剥離を必要とした。また,肺動脈切断端に用いたProlene糸が気管支壁に接していたが,吻合部の被覆は行わなかった。術後,吻合部から底幹外側にかけて厚い白苔が付着し,術後1カ月になっても底幹外側には部分的に白苔が残った。4カ月目によ...
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Published in | The Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 10; no. 1; pp. 74 - 78 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
1988
The Japan Society for Respiratory Endoscopy |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.10.1_74 |
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Summary: | 気管・気管支形成術後の合併症は,主として吻合部に発生する。今回われわれは,吻合部末梢側に壊死性気管支炎を起こした症例を経験したので報告する。症例は65歳男性で,喀痰細胞診で扁平上皮癌と診断され,気管支鏡検査で左B^3から上葉入口部に進展していることが判明した。左上葉スリーブ切除を行ったが,珪肺症のため肺動脈とリンパ節とが強固に癒着しており,肺動脈処理のため広範な気管支剥離を必要とした。また,肺動脈切断端に用いたProlene糸が気管支壁に接していたが,吻合部の被覆は行わなかった。術後,吻合部から底幹外側にかけて厚い白苔が付着し,術後1カ月になっても底幹外側には部分的に白苔が残った。4カ月目にようやく正常気管支粘膜に覆われた。広範な気管支剥離を行った場合,あるいはProlene糸などの合成糸が吻合部近くに接する場合には,有茎胸膜片などにより吻合部の被覆をするべきであると思われた。 |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.10.1_74 |