Gemcitabine+nab-Paclitaxel併用療法後に切除可能となった局所進行切除不能膵癌の1例
症例は70歳,女性.糖尿病の悪化を契機に膵頭部腫瘍を指摘されたが,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)に180°以上の接触・浸潤を伴う局所進行切除不能膵癌の診断となった.ゲムシタビン塩酸塩(gemcitabine:GEM)とパクリタキセルアルブミン懸濁型(nab-Paclitaxel:nab-PTX)の併用療法(GEM+nab-PTX療法)を導入したところ,良好な腫瘍縮小効果が得られ,SMAとの接触・浸潤が180°以下となったため,外科的切除が施行された.摘出病理では薬物・放射線治療後の組織学的効果判定基準はGrade 2(Moderate respon...
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Published in | 膵臓 Vol. 33; no. 4; pp. 776 - 783 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本膵臓学会
25.08.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.33.776 |
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Summary: | 症例は70歳,女性.糖尿病の悪化を契機に膵頭部腫瘍を指摘されたが,上腸間膜動脈(superior mesenteric artery:SMA)に180°以上の接触・浸潤を伴う局所進行切除不能膵癌の診断となった.ゲムシタビン塩酸塩(gemcitabine:GEM)とパクリタキセルアルブミン懸濁型(nab-Paclitaxel:nab-PTX)の併用療法(GEM+nab-PTX療法)を導入したところ,良好な腫瘍縮小効果が得られ,SMAとの接触・浸潤が180°以下となったため,外科的切除が施行された.摘出病理では薬物・放射線治療後の組織学的効果判定基準はGrade 2(Moderate response)であり,SMAの剥離面には明らかな癌浸潤は観察されず,R0手術となった.術後2年(診断確定後2年11か月)の時点で無再発生存中である.局所進行切除不能膵癌の患者にGEM+nab-PTX療法を導入し,R0切除に至った症例を経験したので,文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.33.776 |