心電図,その性差とジェンダーと

米国心臓協会が, 2016年1月に女性における急性心筋梗塞に関する初めての声明を発表したことは, 記憶されている方もおられるかと思う. 我が国の虚血性心疾患罹患率は欧米のおよそ1/10と低いが, そこには著明な性差があり, 女性は男性の1/3~1/5と低い. 加齢で性差は縮まるものの, すべての年齢層で女性の罹患率は低い. この10年で心血管死は改善したが, 女性の心疾患診断率や予後は依然として不良である. 女性の虚血性心疾患初発年齢が男性より8~10歳程高齢であることも影響し, ひとたび発症した女性の死亡率は, 男性に比べ高い結果となっている. 我が国に多く見られる冠攣縮性狭心症においても明...

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Published in心電図 Vol. 36; no. 2; pp. 105 - 106
Main Author 樗木, 晶子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2016
日本不整脈心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.36.105

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Summary:米国心臓協会が, 2016年1月に女性における急性心筋梗塞に関する初めての声明を発表したことは, 記憶されている方もおられるかと思う. 我が国の虚血性心疾患罹患率は欧米のおよそ1/10と低いが, そこには著明な性差があり, 女性は男性の1/3~1/5と低い. 加齢で性差は縮まるものの, すべての年齢層で女性の罹患率は低い. この10年で心血管死は改善したが, 女性の心疾患診断率や予後は依然として不良である. 女性の虚血性心疾患初発年齢が男性より8~10歳程高齢であることも影響し, ひとたび発症した女性の死亡率は, 男性に比べ高い結果となっている. 我が国に多く見られる冠攣縮性狭心症においても明瞭な性差が存在し, 女性では微小冠動脈血管の障害や攣縮による心筋虚血が多いことなどから, 冠動脈造影でも所見に乏しいことが多い.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.36.105