YAG レーザーにて治癒し得た気管支内血栓性閉塞症の 1 治験例

症例は39歳男で, 昭和51年より慢性腎不全にて人工透析を受けていたが, 昭和59年12月31日透析中に喀血があり, 一時止まっていたが, 帰宅後再び出血が少量あった。咳はできるだけ出さないようにしていた。2 3日後より次第に息苦しくなり, 軽度の発熱も出現。1月6日胸部X線にて, 左下葉の無気肺を認め, 1月9日気管支鏡検査施行。気管支分岐部より約1cm末梢の左主気管より血栓がつまり, 左主気管支を完全に閉塞していた。生検鉗子, 細胞診用ブラシ等の方法にても小切片しか摘出できなかった。1月11日再度気管支鏡下にて血栓にYAGレーザー照射を施行。レーザー照射にて血栓が退縮し, 血栓退縮により完...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 8; no. 1; pp. 67 - 71
Main Authors 井上, 文之, 三村, 久, 折田, 薫三, 塩崎, 滋弘, 国米, 欣明, 田中, 紀章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1986
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.8.1_67

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Summary:症例は39歳男で, 昭和51年より慢性腎不全にて人工透析を受けていたが, 昭和59年12月31日透析中に喀血があり, 一時止まっていたが, 帰宅後再び出血が少量あった。咳はできるだけ出さないようにしていた。2 3日後より次第に息苦しくなり, 軽度の発熱も出現。1月6日胸部X線にて, 左下葉の無気肺を認め, 1月9日気管支鏡検査施行。気管支分岐部より約1cm末梢の左主気管より血栓がつまり, 左主気管支を完全に閉塞していた。生検鉗子, 細胞診用ブラシ等の方法にても小切片しか摘出できなかった。1月11日再度気管支鏡下にて血栓にYAGレーザー照射を施行。レーザー照射にて血栓が退縮し, 血栓退縮により完全閉塞していた気管支の末梢に空気が流入し始めた。また, レーザー照射部の血栓が凝固し, 固くなり生検鉗子にて把持できるようになり, 徐々に血栓を摘出した。左主気管支より亜区域支まで血栓は一塊となって充満していたが, ほぼ完全に摘出し完治することができた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.8.1_67