輸血後肝障害と肝生検所見
著者らはここ数年来輸血後に見られる肝障害について調査し, すでに再三にわたり報告してきたが, 1)~3)臨床的にいわゆる血清肝炎と診断される症例の中には組織学的に肝炎の所見を示さない症例も存在するのではないか, あるいは臨床的に肝炎疑と診断した症例がどのような組織像を示すものかを究明する目的で, 昭和45年4月以降に国立仙台病院に入院, 手術を受けた輸血例について経時的に肝機能を追跡し, 輸血後の肝障害の発生状況を調査するとともに, 肝機能障害例について肝生検を行ない, 臨床症状と組織像とを対比し, 2, 3の知見を得たので報告する. 「輸血後の肝障害発生頻度」1. 検索症例(表1) 昭和45...
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Published in | 医療 Vol. 26; no. 2; pp. 109 - 117 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
1972
医療同好会 |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.26.109 |
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Summary: | 著者らはここ数年来輸血後に見られる肝障害について調査し, すでに再三にわたり報告してきたが, 1)~3)臨床的にいわゆる血清肝炎と診断される症例の中には組織学的に肝炎の所見を示さない症例も存在するのではないか, あるいは臨床的に肝炎疑と診断した症例がどのような組織像を示すものかを究明する目的で, 昭和45年4月以降に国立仙台病院に入院, 手術を受けた輸血例について経時的に肝機能を追跡し, 輸血後の肝障害の発生状況を調査するとともに, 肝機能障害例について肝生検を行ない, 臨床症状と組織像とを対比し, 2, 3の知見を得たので報告する. 「輸血後の肝障害発生頻度」1. 検索症例(表1) 昭和45年4月から9月号でに当科に入院, 手術を受け, 輸血の行なわれた症例は胃癌, 食道癌, 胃・十二指腸潰瘍, 胆道疾患などの上腹部疾患95例, 直腸結腸癌, 腸瘻, 穿孔性腹膜炎などの下腹部疾患26例, 乳癌, 甲状腺癌などの腹部以外の疾患23例, 計144例である. これらの症例中6ヵ月の間に原疾患のため, あるいはその他の疾患により死亡した症例は36例を数えたので, 6ヵ月以上原疾患の再発の傾向なく, 追跡し得た例は108例である. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.26.109 |