BAL の標準的洗浄法に関する検討 : CT 像からみた洗浄領域とフラクション分析

BALは呼吸器領域の検査法として発展普及してきたにもかかわらず, 手技上の統一がなされていないために, 諸施設の成績を比較するうえで問題を残していた。われわれはBALを行なう場合に最も適切な1回注入量と洗浄回数を見出すために, 洗浄液の細胞成分の分析のみならずCT像を用いた洗浄領域の観察を加えて検討した。洗浄領域の広さ, 濃度, 他区域への漏出の有無の3点でみた場合, 1回注入量は50mlが妥当と考えられた。さらに1回50mlで6回洗浄を繰り返し, それぞれのフラクションに含まれる細胞数, サーファクタント・アポ蛋白量を測定したところ, いずれも5回目以降は著明に低下し, 特に後者は総量の10...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 8; no. 2; pp. 218 - 228
Main Authors 三上, 正志, 森, 雅樹, 高橋, 弘毅, 鈴木, 明, 黒木, 由夫, 名取, 博, 雨夜, 和俊, 三觜, 雄, 秋野, 豊明, 能登屋, 久志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1986
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.8.2_218

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Summary:BALは呼吸器領域の検査法として発展普及してきたにもかかわらず, 手技上の統一がなされていないために, 諸施設の成績を比較するうえで問題を残していた。われわれはBALを行なう場合に最も適切な1回注入量と洗浄回数を見出すために, 洗浄液の細胞成分の分析のみならずCT像を用いた洗浄領域の観察を加えて検討した。洗浄領域の広さ, 濃度, 他区域への漏出の有無の3点でみた場合, 1回注入量は50mlが妥当と考えられた。さらに1回50mlで6回洗浄を繰り返し, それぞれのフラクションに含まれる細胞数, サーファクタント・アポ蛋白量を測定したところ, いずれも5回目以降は著明に低下し, 特に後者は総量の10%以下であった。したがって, 1回50mlで4回洗浄を繰り返す方法が標準的方法として適当と考えられた。しかしながら, 疾患によっては, 洗浄領域が胸膜直下まで達しない症例もあり, また呼吸器疾患患者では, 肺内残存液の吸収時間が健常者に比べ明らかに遅延し, 病態に基づくBALの適応と限界についても検討を要すると思われた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.8.2_218