カルバペネム系抗菌薬投与患者における抗菌薬適正使用の評価因子の探索

抗菌薬適正使用は抗菌薬処方を最適化し,患者に利益をもたらすことを目的としている.その効果測定にはプロセス指標として抗菌薬の使用量が用いられてきたが,患者アウトカム評価の検討が不十分であった.そこで,新たな抗菌薬適正使用を評価する因子を探索するため,カルバペネム系抗菌薬投与患者の基礎疾患,検査データ,鑑別診断などを調査し,30日死亡に関連する因子を探索した.対象患者は生存群が289名で,死亡群が43名であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,鑑別診断が30日死亡に関連する因子であった(オッズ比:0.228;95%信頼区間:0.109–0.476;P=0.000).プロペンシティスコアマッチング...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 498 - 504
Main Authors 大戸, 祐治, 茅野, 博行, 小林, 洋一, 石野, 敬子, 馬場, 俊之, 金子, 堯一, 路, 昭欣, 前田, 真之, 岩柳, 美波, 吉田, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2016
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.76.498

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Summary:抗菌薬適正使用は抗菌薬処方を最適化し,患者に利益をもたらすことを目的としている.その効果測定にはプロセス指標として抗菌薬の使用量が用いられてきたが,患者アウトカム評価の検討が不十分であった.そこで,新たな抗菌薬適正使用を評価する因子を探索するため,カルバペネム系抗菌薬投与患者の基礎疾患,検査データ,鑑別診断などを調査し,30日死亡に関連する因子を探索した.対象患者は生存群が289名で,死亡群が43名であった.多重ロジスティック回帰分析の結果,鑑別診断が30日死亡に関連する因子であった(オッズ比:0.228;95%信頼区間:0.109–0.476;P=0.000).プロペンシティスコアマッチングによる解析においても,鑑別診断が30日死亡に関連する有意な因子であった.以上より,カルバペネム系抗菌薬投与患者における抗菌薬適正使用の評価項目として,疾患や患者重症度,背景を加味した因子を評価することの重要性が示された.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.76.498