耳下腺原発小細胞内分泌癌の一例

唾液腺腫瘍の組織型は多岐にわたる.小細胞内分泌癌は2017年に改訂されたWHO分類で新しく追加された組織型であり,肺には好発するが,耳下腺に原発することは極めて稀である.今回我々は耳下腺原発の小細胞神経内分泌癌を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は89歳女性,左耳下部腫瘤の精査加療のため前医から紹介され当科外来を受診した.術前細胞診ではclass Ⅴの低分化癌と診断され,確定診断ならびに治療目的で左耳下腺浅葉切除術を施行した.病理組織検査ではHE染色でN/C比が高く,小型類円形の腫瘍細胞を認めた.CK AE1/AE3陽性,MIB1 index約70%から増殖能の高い低分化癌と考えら...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 32; no. 2; pp. 141 - 145
Main Authors 原, 浩貴, 福田, 裕次郎, 濵本, 真一, 兵, 行義, 前田, 祐一郎, 三宅, 宏徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 2019
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology.32.141

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Summary:唾液腺腫瘍の組織型は多岐にわたる.小細胞内分泌癌は2017年に改訂されたWHO分類で新しく追加された組織型であり,肺には好発するが,耳下腺に原発することは極めて稀である.今回我々は耳下腺原発の小細胞神経内分泌癌を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は89歳女性,左耳下部腫瘤の精査加療のため前医から紹介され当科外来を受診した.術前細胞診ではclass Ⅴの低分化癌と診断され,確定診断ならびに治療目的で左耳下腺浅葉切除術を施行した.病理組織検査ではHE染色でN/C比が高く,小型類円形の腫瘍細胞を認めた.CK AE1/AE3陽性,MIB1 index約70%から増殖能の高い低分化癌と考えられ,またCD56,Chromogranin A,Synaptophysinがそれぞれ陽性であり,神経内分泌癌への分化が考えられた.TTF-1,p63はそれぞれ陰性であったことから,甲状腺・肺からの転移は否定的と考え,耳下腺原発小細胞内分泌癌と診断した.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.32.141