In vitro標本による疼痛―筋スパズム連関及び皮膚感覚受容器求心性活動の解析

疼痛反応の特性を実験下に再現する目的で,in vitro標本を用いて疼痛―筋スパズム連関および末梢感覚受容器の求心性活動を解析した。実験モデルにはラットを用い,以下の実験を行った。 ①脊髄―後肢標本を人工脳脊髄液内に維持し,内因性発痛物質であるブラジキニン(以下BKと略す)を後肢に作用させると,後肢の持続的筋活動が筋電図により記録された。また,塩酸エペリゾンを予め脊髄に作用させた後にBKを後肢に作用させると,この筋活動は抑制された。 ②皮膚―知覚神経標本を人工間質液内に維持し,BKを作用させると知覚神経の活動が神経電図により観察できた。また,皮膚に電気刺激を行い知覚誘発電位を記録した。電気刺激...

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Published in理学療法学 Vol. 21; no. 7; pp. 416 - 421
Main Authors 朝野, 裕一, 島崎, 俊司, 向井, 康詞, 山下, 泉, 熱田, 裕司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 30.11.1994
日本理学療法士協会
Japanese Society of Physical Therapy
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00003128719

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Summary:疼痛反応の特性を実験下に再現する目的で,in vitro標本を用いて疼痛―筋スパズム連関および末梢感覚受容器の求心性活動を解析した。実験モデルにはラットを用い,以下の実験を行った。 ①脊髄―後肢標本を人工脳脊髄液内に維持し,内因性発痛物質であるブラジキニン(以下BKと略す)を後肢に作用させると,後肢の持続的筋活動が筋電図により記録された。また,塩酸エペリゾンを予め脊髄に作用させた後にBKを後肢に作用させると,この筋活動は抑制された。 ②皮膚―知覚神経標本を人工間質液内に維持し,BKを作用させると知覚神経の活動が神経電図により観察できた。また,皮膚に電気刺激を行い知覚誘発電位を記録した。電気刺激部位および知覚神経に半導体レーザーを照射したが,知覚誘発電位の変化は認められなかった。 これらの結果から,in vitro標本を用いることによって,疼痛反応を純粋実験下に観察し,脊髄および末梢性に作用する疼痛関連因子の客観的検討が可能であると考えられる。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00003128719