40歳で初発した右側急性化膿性甲状腺炎の一例

症例は40歳女性。平成12年12月30日より38℃台の発熱を認め, 数日後には右前頚部に有痛性の腫瘤が出現した。近医で投薬を受けたが症状の改善がないため平成13年1月7日当科に入院。体温38.9℃, 右前頚部に3 × 3cmの圧痛を伴う腫瘤を触知した。白血球増多, CRP高値, 軽度の甲状腺機能亢進と, 血中サイログロブリンの著増を認め, 頚部CTでは甲状腺右葉に境界明瞭な低吸収域の腫瘤を認めた。腫瘤の穿刺では膿性の液体が採取され, 細菌培養は陰性であったが好中球を多数認めたことから急性化膿性甲状腺炎と診断した。抗生物質の投与で症状は消失し, 頚部腫瘤も縮小した。咽頭喉頭ファイバー, 咽頭食道...

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Published in杏林医学会雑誌 Vol. 34; no. 1; pp. 24 - 30
Main Authors 牛川, 憲司, 板垣, 英二, 曽野, 聖浩, 関, 博之, 小澤, 幸彦, 山口, 真哉, 丸山, 雅弘, 滝澤, 誠, 片平, 宏, 吉元, 勝彦, 住石, 歩, 海野, みちる, 石田, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 杏林医学会 2003
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Summary:症例は40歳女性。平成12年12月30日より38℃台の発熱を認め, 数日後には右前頚部に有痛性の腫瘤が出現した。近医で投薬を受けたが症状の改善がないため平成13年1月7日当科に入院。体温38.9℃, 右前頚部に3 × 3cmの圧痛を伴う腫瘤を触知した。白血球増多, CRP高値, 軽度の甲状腺機能亢進と, 血中サイログロブリンの著増を認め, 頚部CTでは甲状腺右葉に境界明瞭な低吸収域の腫瘤を認めた。腫瘤の穿刺では膿性の液体が採取され, 細菌培養は陰性であったが好中球を多数認めたことから急性化膿性甲状腺炎と診断した。抗生物質の投与で症状は消失し, 頚部腫瘤も縮小した。咽頭喉頭ファイバー, 咽頭食道造影のいずれでも下咽頭梨状窩瘻は確認されなかった。 本症のほとんどは小児期に初発し, しかも罹患側は発生学的理由から圧倒的に左側に多いことが特徴であるが, 我々は中年期に初発し, かつ右側に発症した稀な一例を経験したので報告する。
ISSN:0368-5829
1349-886X
DOI:10.11434/kyorinmed.34.24