慢性上咽頭炎に対する上咽頭擦過療法の治療効果

慢性上咽頭炎症例73例に対して,生理食塩水による鼻うがいを併用し,1%塩化亜鉛を上咽頭粘膜に塗布する上咽頭擦過療法(EAT)を施行した.治療前後に自覚症状のアンケート調査を行い,電子内視鏡の上咽頭所見を比較して治療効果を検討した.主訴の改善率は79.5%,局所所見の改善率は87.7%であった.アンケート用紙に記載のある,頭痛・後鼻漏・咽喉頭違和感・咽頭痛・肩こり・耳鳴・耳閉感・めまい・咳のうち,耳鳴以外のスコアは有意差をもって改善した.内視鏡による局所所見の改善度と主訴スコアの改善の程度との関連において有意な相関が認められた.慢性上咽頭炎に対してはEATを含む局所療法が有用であることが示唆され...

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Published in口腔・咽頭科 Vol. 32; no. 1; pp. 33 - 39
Main Author 大野, 芳裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔・咽頭科学会 2019
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ISSN0917-5105
1884-4316
DOI10.14821/stomatopharyngology.32.33

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Summary:慢性上咽頭炎症例73例に対して,生理食塩水による鼻うがいを併用し,1%塩化亜鉛を上咽頭粘膜に塗布する上咽頭擦過療法(EAT)を施行した.治療前後に自覚症状のアンケート調査を行い,電子内視鏡の上咽頭所見を比較して治療効果を検討した.主訴の改善率は79.5%,局所所見の改善率は87.7%であった.アンケート用紙に記載のある,頭痛・後鼻漏・咽喉頭違和感・咽頭痛・肩こり・耳鳴・耳閉感・めまい・咳のうち,耳鳴以外のスコアは有意差をもって改善した.内視鏡による局所所見の改善度と主訴スコアの改善の程度との関連において有意な相関が認められた.慢性上咽頭炎に対してはEATを含む局所療法が有用であることが示唆された.
ISSN:0917-5105
1884-4316
DOI:10.14821/stomatopharyngology.32.33