職域成人における歯冠部齲蝕の発病性に関する研究 : 第1報 コホート調査による発病歯種,発病歯面の年齢階層別分析

職域成人における歯冠部齲蝕の発病特性について,歯種・歯面別に明らかにすることを目的として追跡調査を行った。対象は,都内某事業所の従業員のなかで,5年後を追跡することができた23〜54歳の男性118名と,22〜29歳の女性23名の合計141名である。上顎と下顎それぞれ切歯群,犬歯群,小臼歯群,大臼歯群の計8歯群に分類し,各歯群を唇・頬側面,口蓋・舌側面,近心面,遠心面,咬合面の5歯面に分けて集計・解析し,次の結果を得た。1.5年間の発病者率は,20歳代女性が最も高く(69.6%),40歳代男性が最も低かった。しかし年齢階層間に有意な差は認めらなかった。2.発病歯率が高いのは20歳代女性の上下顎大...

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Published inJOURNAL OF DENTAL HEALTH Vol. 52; no. 5; pp. 695 - 705
Main Authors 高江洲, 義矩, 眞木, 吉信, 黒川, 亜紀子, 武者, 良憲, 杉原, 直樹, 土屋, 維男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 口腔衛生学会 2002
日本口腔衛生学会
Japanese Society for Oral Health
Subjects
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ISSN0023-2831
2189-7379
DOI10.5834/jdh.52.5_695

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Summary:職域成人における歯冠部齲蝕の発病特性について,歯種・歯面別に明らかにすることを目的として追跡調査を行った。対象は,都内某事業所の従業員のなかで,5年後を追跡することができた23〜54歳の男性118名と,22〜29歳の女性23名の合計141名である。上顎と下顎それぞれ切歯群,犬歯群,小臼歯群,大臼歯群の計8歯群に分類し,各歯群を唇・頬側面,口蓋・舌側面,近心面,遠心面,咬合面の5歯面に分けて集計・解析し,次の結果を得た。1.5年間の発病者率は,20歳代女性が最も高く(69.6%),40歳代男性が最も低かった。しかし年齢階層間に有意な差は認めらなかった。2.発病歯率が高いのは20歳代女性の上下顎大臼歯群と上顎小臼歯群,次いで50歳代男性の上顎大臼歯群であった。3.発病歯面率は,20歳代女性,20歳代男性および50歳代男性が高かった(5.7〜6.3%)。4.部位別発病歯面率は,全歯種でどの年齢階層においても咬合面の発病が最も高い(7.7〜17.2%)。 20歳代の男女を歯群別にみると,大臼歯群では咬合面に次いで頬側面が,小臼歯群は咬合面に次いで遠心面が発病しやすい傾向がみられた。以上のことから,職域成人における口腔保健指導の主たるターゲット年齢は,発病率の高い20歳代であり,歯種・歯面別にみると,上下顎大臼歯群の咬合面と頬側面,次いで上顎小臼歯群の咬合面と遠心面における発病リスクが高く,これらを自己管理できる指導の重要性が示唆された。
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.52.5_695