局在診断―眼球運動障害から原因疾患を推測する
「I. はじめに」眼球運動は, 核上である大脳皮質から脳幹部の指令統合制御センター, 眼運動神経核, 核下の眼運動神経, 神経筋接合部を経て, 外眼筋に至る神経経路により発現する. この経路のどこかに障害があると, 眼球運動に異常が生じる. また, この経路に問題がなくても, 眼窩部の病変や外眼筋の異常によって, 機械的な拘束性の眼球運動障害が生じることがある. 原則として眼球運動は, 核上性の障害では両眼性に障害され, 核下の末梢性の障害では単眼性に障害される. ただし, 末梢性の障害であっても, 両眼性に眼球運動が障害されることがあり, その代表的疾患として, 甲状腺眼症, 重症筋無力症,...
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Published in | Neuro-Ophthalmology Japan Vol. 32; no. 3; pp. 296 - 300 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経眼科学会
2015
The Japanese Neuro-Ophthalmology Society |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-7024 2188-2002 |
DOI | 10.11476/shinkeiganka.32.296 |
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Summary: | 「I. はじめに」眼球運動は, 核上である大脳皮質から脳幹部の指令統合制御センター, 眼運動神経核, 核下の眼運動神経, 神経筋接合部を経て, 外眼筋に至る神経経路により発現する. この経路のどこかに障害があると, 眼球運動に異常が生じる. また, この経路に問題がなくても, 眼窩部の病変や外眼筋の異常によって, 機械的な拘束性の眼球運動障害が生じることがある. 原則として眼球運動は, 核上性の障害では両眼性に障害され, 核下の末梢性の障害では単眼性に障害される. ただし, 末梢性の障害であっても, 両眼性に眼球運動が障害されることがあり, その代表的疾患として, 甲状腺眼症, 重症筋無力症, 慢性進行性外眼筋麻痺(chronic progressive external ophthalmoplegia: CPEO), Fisher症候群を覚えておきたい. 眼球運動に障害があることが分かれば, まずその原因が核上性か, 末梢性かをチェックする. |
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ISSN: | 0289-7024 2188-2002 |
DOI: | 10.11476/shinkeiganka.32.296 |