胆管内ポリープの形態を呈した胆管原発「真の癌肉腫」の1例

症例は81歳の女性で,心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認め,CTで総胆管結石もしくは胆管腫瘍による閉塞性黄疸を伴う胆管炎と診断され緊急入院となった.ERCPで総肝管から総胆管にかけて透亮像を認め,腫瘍も否定できない所見ではあったが,炎症極期であることを考慮し生検はせず,胆管ステントの留置にとどめた.後日症状軽快した段階で,再度ERCP下に生検を施行し,高分化から中分化管状腺癌の病理診断となった.胆管癌に対して肝外胆管切除,胆道再建,リンパ節廓清を施行した.病理検査で「真の癌肉腫」と診断された.術後補助化学療法は行わずに経過観察していたが,術後117日目のC...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 324 - 331
Main Authors 谷岡, 利朗, 松井, 聡, 大畠, 慶映, 海藤, 章郎, 八木, 健太, 坂下, 麻衣, 長谷川, 芙美, 有田, カイダ, 伊東, 浩次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2022
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2021.0010

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Summary:症例は81歳の女性で,心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診した.血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認め,CTで総胆管結石もしくは胆管腫瘍による閉塞性黄疸を伴う胆管炎と診断され緊急入院となった.ERCPで総肝管から総胆管にかけて透亮像を認め,腫瘍も否定できない所見ではあったが,炎症極期であることを考慮し生検はせず,胆管ステントの留置にとどめた.後日症状軽快した段階で,再度ERCP下に生検を施行し,高分化から中分化管状腺癌の病理診断となった.胆管癌に対して肝外胆管切除,胆道再建,リンパ節廓清を施行した.病理検査で「真の癌肉腫」と診断された.術後補助化学療法は行わずに経過観察していたが,術後117日目のCTで多発肝転移を疑う所見を認め,S-1開始としたが術後223日目に永眠した.今回,特徴的な形態を呈する胆管原発の「真の癌肉腫」を経験したため報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2021.0010