直腸癌に対する腹腔鏡下超低位前方切除術および側方リンパ節郭清後の露出血管による絞扼性腸閉塞の1例
症例は68歳の男性で,下部直腸癌に対して腹腔鏡下超低位前方切除,両側側方リンパ節郭清術を施行された.最終病理組織診断はpT2N0M0,pStage Iであった.術後に麻痺性イレウスを認めたが,保存的加療により軽快退院となった.術後3か月目に,右鼠径部痛を自覚し当院を救急受診した.腹部造影CTにて,骨盤内右側で小腸がclosed loopを形成し,絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した.術中所見では側方リンパ節郭清によって露出された右上膀胱動脈と内腸骨動脈の間隙に小腸が迷入し陥頓/壊死していたが,容易に陥頓解除できた.左上膀胱,右下膀胱動脈が温存されていることを確認し,再発予防目的に右上膀胱動脈...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 8; pp. 531 - 537 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.08.2021
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2020.0003 |
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Summary: | 症例は68歳の男性で,下部直腸癌に対して腹腔鏡下超低位前方切除,両側側方リンパ節郭清術を施行された.最終病理組織診断はpT2N0M0,pStage Iであった.術後に麻痺性イレウスを認めたが,保存的加療により軽快退院となった.術後3か月目に,右鼠径部痛を自覚し当院を救急受診した.腹部造影CTにて,骨盤内右側で小腸がclosed loopを形成し,絞扼性腸閉塞の診断で緊急手術を施行した.術中所見では側方リンパ節郭清によって露出された右上膀胱動脈と内腸骨動脈の間隙に小腸が迷入し陥頓/壊死していたが,容易に陥頓解除できた.左上膀胱,右下膀胱動脈が温存されていることを確認し,再発予防目的に右上膀胱動脈を結紮切離し,壊死腸管を含めた小腸部分切除を行い吻合再建した.病理組織診断では腸管壁全層が壊死していた.直腸癌に対し側方リンパ節郭清後の露出血管が原因となった絞扼性腸閉塞の1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2020.0003 |