慢性肝炎の劇症化について

劇症肝炎と臨床診断された12例の組織所見と臨床像とを対比した.12例中剖検7例生存例5例である.剖検7例中3例が広汎壊死と共に門脈域の細胞浸潤,線維化等慢性肝炎所見の混在を認めた.これらは他の典型的4例と入院時理学的所見,臨床検査成績に差を認めなかつた.入院後の調査にてこれら全例に肝機能障害の既往が明らかとなり,慢性肝炎を基礎として劇症発症したものと考えられた.生存5例では回復後肝生検にて3例が慢性肝炎像を示し中1例に肝機能障害の既往を確認した.他の2例は劇症肝炎回復後に共に肝機能障害の再出現を認め劇症肝炎経過中他の肝炎ウイルスに感染しそれが慢性化したものと考えられた....

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Published in肝臓 Vol. 22; no. 6; pp. 827 - 836
Main Authors 遠藤, 義彦, 冨田, 周介, 工藤, 正俊, 内田, 博也, 小森, 英司, 藤見, 勝彦, 藤堂, 彰男, 沖本, 芳春, 北浦, 保智
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1981
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.22.827

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Summary:劇症肝炎と臨床診断された12例の組織所見と臨床像とを対比した.12例中剖検7例生存例5例である.剖検7例中3例が広汎壊死と共に門脈域の細胞浸潤,線維化等慢性肝炎所見の混在を認めた.これらは他の典型的4例と入院時理学的所見,臨床検査成績に差を認めなかつた.入院後の調査にてこれら全例に肝機能障害の既往が明らかとなり,慢性肝炎を基礎として劇症発症したものと考えられた.生存5例では回復後肝生検にて3例が慢性肝炎像を示し中1例に肝機能障害の既往を確認した.他の2例は劇症肝炎回復後に共に肝機能障害の再出現を認め劇症肝炎経過中他の肝炎ウイルスに感染しそれが慢性化したものと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.22.827