12cm幅の筋膜欠損の修復にmodified components separation法が有用であった1例

症例は85歳,女性.盲腸癌に対し回盲部切除術が施行された際に,縫合不全から難治性腸管皮膚瘻となり,また腹壁瘢痕ヘルニア修復術のメッシュにも感染をきたし,当科へ紹介となった.腸管皮膚瘻を切除,感染メッシュを除去したところ,上腹部に12cm幅の巨大な筋膜欠損を生じた.筋膜の直接閉鎖は不可能で,汚染手術のため人工物も使用できない状況であったため,modified components separation(CS)法により筋膜の閉鎖を行った.まず,両側外腹斜筋腱膜に縦切開を加えて減張し,次に腹直筋鞘前葉を遊離して内側へスライドさせて筋膜を縫合閉鎖した.術後,創部の一部に血流障害を生じたが保存的に治癒し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 8; pp. 2143 - 2147
Main Authors 浅野, 博昭, 村岡, 孝幸, 内藤, 稔, 佃, 和憲, 牧, 佑歩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.2143

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Summary:症例は85歳,女性.盲腸癌に対し回盲部切除術が施行された際に,縫合不全から難治性腸管皮膚瘻となり,また腹壁瘢痕ヘルニア修復術のメッシュにも感染をきたし,当科へ紹介となった.腸管皮膚瘻を切除,感染メッシュを除去したところ,上腹部に12cm幅の巨大な筋膜欠損を生じた.筋膜の直接閉鎖は不可能で,汚染手術のため人工物も使用できない状況であったため,modified components separation(CS)法により筋膜の閉鎖を行った.まず,両側外腹斜筋腱膜に縦切開を加えて減張し,次に腹直筋鞘前葉を遊離して内側へスライドさせて筋膜を縫合閉鎖した.術後,創部の一部に血流障害を生じたが保存的に治癒し,1年半経過したが再発は認めていない.modified CS法は,腹壁再建時にメッシュの使用が躊躇されるような汚染手術において有用と思われるので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.2143