L1/2椎間孔部狭窄の臨床所見

はじめに:これまであまり注目されなかったL1/2椎間孔部狭窄の臨床所見を調査した.対象と方法:当院にて加療した腰椎変性疾患患者9,138例のうち,片側性の腰殿部痛を訴え,MRIでL1/2椎間孔部狭窄が認められ,L1神経根ブロックによって症状の消失がみられた16例(0.175%)であった.男性12例,女性4例,平均年齢が61歳で,外側ヘルニアが9例あった.これらについて臨床症候と神経学的所見,画像所見を検討した.結果:後方腸骨稜部に認める腰痛が特徴的で全例でみられた.鼡径部痛を10例(63%)に,大転子外側部痛と大腿前面中枢部の痛みをそれぞれ6例(38%)で認めた.大腿遠位部や下腿の痛みはなかっ...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 13; no. 1; pp. 3 - 11
Main Author 西村, 行政
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.01.2022
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Summary:はじめに:これまであまり注目されなかったL1/2椎間孔部狭窄の臨床所見を調査した.対象と方法:当院にて加療した腰椎変性疾患患者9,138例のうち,片側性の腰殿部痛を訴え,MRIでL1/2椎間孔部狭窄が認められ,L1神経根ブロックによって症状の消失がみられた16例(0.175%)であった.男性12例,女性4例,平均年齢が61歳で,外側ヘルニアが9例あった.これらについて臨床症候と神経学的所見,画像所見を検討した.結果:後方腸骨稜部に認める腰痛が特徴的で全例でみられた.鼡径部痛を10例(63%)に,大転子外側部痛と大腿前面中枢部の痛みをそれぞれ6例(38%)で認めた.大腿遠位部や下腿の痛みはなかった.3例は鼡径部痛のために内科的検査も受けていた.神経学的異常はほとんど認められず,Kempテストで9例(56%)に疼痛の増強がみられた.X線像で変性側弯が7例(44%)にみられた.外側ヘルニア例ではMRI冠状断像で椎間孔部に腫瘤様陰影を認めた.結語:L1/2椎間孔部狭窄は片側の比較的強度の後方腸骨稜部の腰痛を呈し,鼡径部痛や時に大転子外側痛,大腿前面中枢の痛みを伴った.Kempテストで疼痛の増強が半数以上でみられた.腰痛には本症に由来するものもあるため注意をはらう必要がある.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2021-0032