悪性腫瘍再発イレウスの診断と治療のポイント

悪性腫瘍再発イレウスに対する外科的治療は,他の治療法で症状のコントロールが困難な患者のQOLを改善し得る治療法である。その一方で,治療の侵襲や術後合併症によって,さらなるQOLの低下や生存期間の短縮を招く危険性もあり,外科的治療の適応については,慎重に検討せねばならない。そこで,当院における悪性腫瘍再発イレウス手術症例を集計し,過去の文献報告例とあわせて,術後QOL改善に影響を及ぼす因子について検討した。その適応については,拡張腸管の有無,閉塞様式,初回手術からイレウス発症までの期間などが参考になる可能性が示唆されたが,これら特定の因子だけで適切な判断を下すことは困難である。個々の患者の症状や...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 30; no. 6; pp. 799 - 804
Main Authors 上田, 泰弘, 大石, 達郎, 小山, 隆司, 吉岡, 勇気, 宮本, 勝文, 徳永, 卓哉, 栗栖, 茂, 高橋, 英幸, 梅木, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2010
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.30.799

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Summary:悪性腫瘍再発イレウスに対する外科的治療は,他の治療法で症状のコントロールが困難な患者のQOLを改善し得る治療法である。その一方で,治療の侵襲や術後合併症によって,さらなるQOLの低下や生存期間の短縮を招く危険性もあり,外科的治療の適応については,慎重に検討せねばならない。そこで,当院における悪性腫瘍再発イレウス手術症例を集計し,過去の文献報告例とあわせて,術後QOL改善に影響を及ぼす因子について検討した。その適応については,拡張腸管の有無,閉塞様式,初回手術からイレウス発症までの期間などが参考になる可能性が示唆されたが,これら特定の因子だけで適切な判断を下すことは困難である。個々の患者の症状や血液生化学検査所見,画像所見などを総合的かつ経時的に十分把握して手術適応,術式を検討することが重要である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.30.799