診断および治療に腹腔鏡が有用であった腸管嚢腫様気腫症の1例
症例は61歳男性。アミロイドーシスに対する定期受診の際に胸部X線で腹腔内遊離ガス像を認めたため当院救命センターへ紹介となった。腹部CTでは腹腔内遊離ガス像に加え大量の後腹膜気腫像,腸管気腫像を認めた。穿孔性腹膜炎などを鑑別するため診断的腹腔鏡を施行したところ,腸管の壊死や穿孔を示唆する所見はなく,広範な腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)と診断した。高濃度酸素投与にて術後経過は良好であった。腹腔内遊離ガス像や腸管気腫像は急性腹症に伴って生じることが多い。一方で腸管嚢腫様気腫症は時に急性腹症との鑑別が困難であるために,開腹手術が必要とな...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 31; no. 5; pp. 827 - 830 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2011
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.31.827 |
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Summary: | 症例は61歳男性。アミロイドーシスに対する定期受診の際に胸部X線で腹腔内遊離ガス像を認めたため当院救命センターへ紹介となった。腹部CTでは腹腔内遊離ガス像に加え大量の後腹膜気腫像,腸管気腫像を認めた。穿孔性腹膜炎などを鑑別するため診断的腹腔鏡を施行したところ,腸管の壊死や穿孔を示唆する所見はなく,広範な腸管嚢腫様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:PCI)と診断した。高濃度酸素投与にて術後経過は良好であった。腹腔内遊離ガス像や腸管気腫像は急性腹症に伴って生じることが多い。一方で腸管嚢腫様気腫症は時に急性腹症との鑑別が困難であるために,開腹手術が必要となる非外科的症候である。これまでPCIに対して腹腔鏡所見で確定診断した報告は少ないため文献的考察を加えて報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.31.827 |