喉頭悪性腫瘍と鑑別を要したEBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍の1例

EBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍はEBウイルス陽性リンパ増殖性疾患の中に分類される疾患の中でも,比較的予後良好なものである。今回われわれは,最初に急性喉頭蓋炎の診断で抗菌薬加療を行うも改善が乏しく,その後喉頭蓋に潰瘍性病変が出現し,悪性腫瘍の可能性を考えて生検した結果,EBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍の診断に至った症例を経験した。EBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍は免疫抑制薬の使用を契機として発症することが多く,その場合は使用薬剤の減量や中止によってほとんどが改善する一方で,悪性リンパ腫と病理組織学的に類似することもあるため,診断を正確に行う必要がある。一部の悪性リンパ腫との鑑別には免疫低下の原因となりうる...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 65; no. 4; pp. 157 - 161
Main Authors 松下, 豊, 清水, 雄太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.08.2022
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ISSN0386-9687
1883-6429
DOI10.11453/orltokyo.65.4_157

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Summary:EBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍はEBウイルス陽性リンパ増殖性疾患の中に分類される疾患の中でも,比較的予後良好なものである。今回われわれは,最初に急性喉頭蓋炎の診断で抗菌薬加療を行うも改善が乏しく,その後喉頭蓋に潰瘍性病変が出現し,悪性腫瘍の可能性を考えて生検した結果,EBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍の診断に至った症例を経験した。EBウイルス陽性粘膜皮膚潰瘍は免疫抑制薬の使用を契機として発症することが多く,その場合は使用薬剤の減量や中止によってほとんどが改善する一方で,悪性リンパ腫と病理組織学的に類似することもあるため,診断を正確に行う必要がある。一部の悪性リンパ腫との鑑別には免疫低下の原因となりうる既往歴や投薬歴が重要となるので,咽喉頭に難治性の潰瘍性病変を認めた場合には,生検とあわせて,それらのことを念頭に置いた問診を行うことが重要である。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.65.4_157