脳脊髄腔投与可能なDDSの開発とその脳保護効果の検討

くも膜下出血などの脳出血(subarachnoid hemorrhage, SAH), あるいは脳外科手術に伴う出血により生成された過酸化物などにより, 遅延性の脳血管攣縮が起こることが知られている. 1,2)この現象は実に全患者の3分の1に観察されており, SAHの予後の増悪のみならず, 死因の1つに数えられている. 3)一方, 脳梗塞は脳を養う血管が詰まることによって発症し, その形成過程や位置の違いによりアテローム血栓性梗塞, ラクナ梗塞, 心原性脳塞栓症の3種に分類され, 脳卒中による死亡の60%以上を占めることが知られている. このような脳卒中(脳梗塞, 脳出血, くも膜下出血)の予...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 124; no. 8; pp. 541 - 547
Main Author 石田, 竜弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 01.08.2004
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.124.541

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Summary:くも膜下出血などの脳出血(subarachnoid hemorrhage, SAH), あるいは脳外科手術に伴う出血により生成された過酸化物などにより, 遅延性の脳血管攣縮が起こることが知られている. 1,2)この現象は実に全患者の3分の1に観察されており, SAHの予後の増悪のみならず, 死因の1つに数えられている. 3)一方, 脳梗塞は脳を養う血管が詰まることによって発症し, その形成過程や位置の違いによりアテローム血栓性梗塞, ラクナ梗塞, 心原性脳塞栓症の3種に分類され, 脳卒中による死亡の60%以上を占めることが知られている. このような脳卒中(脳梗塞, 脳出血, くも膜下出血)の予後を改善することを目的として, 血管拡張作用を持つCa拮抗剤などの予防的投与が行われている. しかしながら, 静脈(動脈)内に投与した場合, 全身への薬物の分布と血液脳関門の存在により, 脳内への薬物の分布は極めて少なくかつ一過性であり, 長期間に渡る予防効果は期待できない.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.124.541