小腸脂肪腫による成人腸重積症が誘因となった続発性小腸軸捻転症の1例
症例は51歳,男性。腹痛と嘔吐を主訴に紹介受診となった。腹部造影CT所見では,低吸収の腫瘤性病変を先進とする腸重積像および小腸にwhirl signを認めた。小腸腫瘍による腸重積症および小腸軸捻転症と診断し緊急手術を施行した。開腹所見ではTreitz靭帯より口側70cmに小腸腸間膜が270°捻転し腸管の虚血性変化を認めた。さらに小腸に重積腸管を認め,Hutchinson手技で整復すると先進部に約4cmの腫瘤を触知した。手術は重積した腸管を含む小腸部分切除術を施行した。切除標本では空腸に40×30×30mmの黄色調の有茎性腫瘍を認め,病理組織検査で脂肪腫と診断された。術後経過は良好で術後8日目に...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 4; pp. 621 - 625 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.37.621 |
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Summary: | 症例は51歳,男性。腹痛と嘔吐を主訴に紹介受診となった。腹部造影CT所見では,低吸収の腫瘤性病変を先進とする腸重積像および小腸にwhirl signを認めた。小腸腫瘍による腸重積症および小腸軸捻転症と診断し緊急手術を施行した。開腹所見ではTreitz靭帯より口側70cmに小腸腸間膜が270°捻転し腸管の虚血性変化を認めた。さらに小腸に重積腸管を認め,Hutchinson手技で整復すると先進部に約4cmの腫瘤を触知した。手術は重積した腸管を含む小腸部分切除術を施行した。切除標本では空腸に40×30×30mmの黄色調の有茎性腫瘍を認め,病理組織検査で脂肪腫と診断された。術後経過は良好で術後8日目に退院となった。小腸脂肪腫による腸重積が誘因となった続発性小腸軸捻転症の報告例はなく,極めてまれな病態と考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.37.621 |