日本の原子力災害医療派遣チームと隊員に関する現状分析

「要旨」 【目的】原子力災害医療派遣チームの現状を分析すること. 【方法】1)原子力災害拠点病院等の担当事務職から電話等で, チーム保有の有無, 立地道府県との協定の有無等について質問した. 2)チーム構成員を対象に, 活動可能な累積被ばく線量について, 郵送によるアンケート調査を実施した. 【結果】1) 55施設中50施設が回答. 44施設が派遣チームを保有, ユニフォーム保有が20.5%, 協定締結は4.5%であった. 2) 回答した派遣チーム隊員の25.3%が1mSv以下の累積被ばく線量を容認しなかった. 1mSv以下またはこれを超える累積被ばく線量を許容する派遣チーム隊員は74.7%お...

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Published inJapanese Journal of Disaster Medicine Vol. 29; no. 3; pp. 191 - 198
Main Authors 越智元郎, 長谷川有史, 廣橋伸之, 山本尚幸, 馬越健介, 佐藤格夫, 田中景子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本災害医学会 06.09.2024
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Summary:「要旨」 【目的】原子力災害医療派遣チームの現状を分析すること. 【方法】1)原子力災害拠点病院等の担当事務職から電話等で, チーム保有の有無, 立地道府県との協定の有無等について質問した. 2)チーム構成員を対象に, 活動可能な累積被ばく線量について, 郵送によるアンケート調査を実施した. 【結果】1) 55施設中50施設が回答. 44施設が派遣チームを保有, ユニフォーム保有が20.5%, 協定締結は4.5%であった. 2) 回答した派遣チーム隊員の25.3%が1mSv以下の累積被ばく線量を容認しなかった. 1mSv以下またはこれを超える累積被ばく線量を許容する派遣チーム隊員は74.7%および53.7%であった. 隊員の被ばく許容に独立して影響する項目は年齢50歳台(オッズ比, 以下OR 3.2)およびDMAT併任(OR 1.7)であった. 【結論】派遣チーム未確保の原子力災害拠点病院が依然存在する. 派遣チームを持つ施設においても, 食料・水の準備, 初動チーム決定, 院内規定作成, 行政との協定等の準備を図る必要がある.
ISSN:2189-4035
DOI:10.51028/jjdisatmed.29.3_191