コロナ禍における特別支援学校職員の腰痛実態調査 ~3年間の経時的変化

【はじめに】教育だけでなく生徒への介助・ケアも必要とされる特別支援学校職員は腰痛有訴率が高く、腰痛対策が必要である。当院では、特別支援学校へ半年に1回、身体機能評価や介助動作指導、腰痛に対する正しい知識の普及の講義を実施し、教員の腰痛の実態を把握するためのアンケート調査を行った。今回の取り組みにおいて、腰痛の有訴率がコロナ禍で学校が休校していた時期の直後のみ、通常とは違う結果が得られたので報告する。【対象】大阪府下にある特別支援学校1校に対して、2019年4月から2021年3月に開催した腰痛予防講座に参加した職員を対象に実施した。この期間の中で、2020年3月末から2020年5月末のまでの約2...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJapanese Society of physical therapy for prevention (supplement) Vol. 2.Suppl.No.1; p. 383
Main Authors 愛洲, 純, 川﨑, 浩子, 勝田, 紘史, 石川, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本予防理学療法学会 31.03.2024
Japanese Society of physical therapy for prevention
Online AccessGet full text
ISSN2758-7983
DOI10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_383

Cover

More Information
Summary:【はじめに】教育だけでなく生徒への介助・ケアも必要とされる特別支援学校職員は腰痛有訴率が高く、腰痛対策が必要である。当院では、特別支援学校へ半年に1回、身体機能評価や介助動作指導、腰痛に対する正しい知識の普及の講義を実施し、教員の腰痛の実態を把握するためのアンケート調査を行った。今回の取り組みにおいて、腰痛の有訴率がコロナ禍で学校が休校していた時期の直後のみ、通常とは違う結果が得られたので報告する。【対象】大阪府下にある特別支援学校1校に対して、2019年4月から2021年3月に開催した腰痛予防講座に参加した職員を対象に実施した。この期間の中で、2020年3月末から2020年5月末のまでの約2ヶ月間、コロナ禍で一斉休校となり、教員の働き方は通常業務からテレワークで教材の準備などに変わった。【方法】自己記入式アンケートを用いて、腰痛の実態を調査した。腰痛の定義としては、腰痛診療ガイドラインに準じて、触知可能な最下端の肋骨と殿溝の間の領域に位置する疼痛とし、 3ヶ月以上続く痛みと定義し、有訴率を調査した (調査期間: 2019年4月から2021年3月)。その結果をもとに、全体、男女別、年代別、担当学級別に検討を行った。【結果】回答率は2019年度夏92.9%、2019年度冬67.2%、 2020年度夏83.1%、2020年度冬72.5%、2021年度夏77.1%、 2021年度冬17.8%だった。腰痛有訴率は、2019年度夏57.1%、 2019年度冬52.0%、2020年度夏32.9%、2020年度冬67.0%、 2021年度夏46.2%、2021年度冬44.0%で2019年度夏が減少傾向であった。男女別では、同様の傾向であるが男性の方が変化率が大きかった。また、年代別でも同様の傾向であるが20代に比べて30代、40代、50代が高い傾向であった。さらに担当学級別でも概ね同様の傾向であった。【考察】今回の結果より、コロナ禍で休校し、通常業務とは違う働き方を実施した時期には、性別、年代別、担当学級別に限らず腰痛有訴率が低下し、その後戻った。このことから、生徒への介助・ケアなどを行う通常業務が腰痛の要因である可能性が示された。今後、生徒への介助・ケアなどの通常業務におけるどの場面が腰痛の要因になっているか調査していきたい。【倫理的配慮】本研究は運動器ケアしまだ病院倫理審査委員会の承認を受けて実施した (承認番号2023004)。対象者には書面にて説明し、同意を得た。
Bibliography:SO-02-2
ISSN:2758-7983
DOI:10.57304/jsptpsuppl.2.Suppl.No.1.0_383