SMA Balloon OcclusionとDamage Control Surgeryが奏効した外傷性SMA損傷の1救命例

症例は48歳男性。トラックとフォークリフトに挟まれ当院救急搬送。搬入時GCS E4V4M6,血圧58/23mmHg,脈拍78bpmであった。初期輸液に反応し,造影CT検査を施行。SMA損傷による腹腔内出血と診断した。再度血圧の低下を認め,緊急手術の適応と判断するも,手術まで時間を要してしまう状況であった。SMA根部をバルーンカテーテルにて閉塞(SMA Balloon Occlusion;SMABO),その後開腹止血術を施行した。後腹膜およびSMAを含む広範な腸間膜の損傷を認めた。可及的に縫合止血を行い,血流不良の腸管を切除し,ガーゼパッキングの後に閉創した。3日後に再開腹し,人工肛門造設術を施...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 35; no. 7; pp. 917 - 920
Main Authors 原田, 真之資, 篠田, 憲幸, 高嶋, 伸宏, 堅田, 武保, 上野, 修平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2015
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.917

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Summary:症例は48歳男性。トラックとフォークリフトに挟まれ当院救急搬送。搬入時GCS E4V4M6,血圧58/23mmHg,脈拍78bpmであった。初期輸液に反応し,造影CT検査を施行。SMA損傷による腹腔内出血と診断した。再度血圧の低下を認め,緊急手術の適応と判断するも,手術まで時間を要してしまう状況であった。SMA根部をバルーンカテーテルにて閉塞(SMA Balloon Occlusion;SMABO),その後開腹止血術を施行した。後腹膜およびSMAを含む広範な腸間膜の損傷を認めた。可及的に縫合止血を行い,血流不良の腸管を切除し,ガーゼパッキングの後に閉創した。3日後に再開腹し,人工肛門造設術を施行,10ヵ月後に人工肛門閉鎖術を施行した。SMABOにより開腹手術までの出血をコントロールしえたとともに,Intra-Aortic Balloon Occlusion(IABO)の問題点である再灌流障害や他臓器の虚血障害を起こすことなく長期の留置が可能であった。また損傷部以外のSMA領域の血流を最小限確保できたと考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.917