胃石による十二指腸穿通・後腹膜膿瘍をきたした1例
胃石による十二指腸穿通の1例を経験したので報告する。症例は80歳,女性で,他院で1年前に上部消化管内視鏡で胃石と胃潰瘍を指摘されたが,処置せずに経過観察されていた。食欲低下,発熱が持続し,約1ヵ月の経過ののち,当院へ搬送された。CTで十二指腸球部に10cm大のスポンジ様腫瘤,および骨盤まで達する膿瘍を認め,胃石による十二指腸穿通,後腹膜膿瘍の診断で緊急手術を行った。胃石が十二指腸球部に嵌頓,圧迫壊死により十二指腸が後腹膜に穿通していた。胃石を摘出し,十二指腸空腸吻合,胆囊摘出,膿瘍ドレナージを行った。術中から血圧低下を認め,敗血症性ショックで術翌日に永眠された。胃石による消化管穿孔の報告は少な...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 5; pp. 943 - 946 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.36.943 |
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Summary: | 胃石による十二指腸穿通の1例を経験したので報告する。症例は80歳,女性で,他院で1年前に上部消化管内視鏡で胃石と胃潰瘍を指摘されたが,処置せずに経過観察されていた。食欲低下,発熱が持続し,約1ヵ月の経過ののち,当院へ搬送された。CTで十二指腸球部に10cm大のスポンジ様腫瘤,および骨盤まで達する膿瘍を認め,胃石による十二指腸穿通,後腹膜膿瘍の診断で緊急手術を行った。胃石が十二指腸球部に嵌頓,圧迫壊死により十二指腸が後腹膜に穿通していた。胃石を摘出し,十二指腸空腸吻合,胆囊摘出,膿瘍ドレナージを行った。術中から血圧低下を認め,敗血症性ショックで術翌日に永眠された。胃石による消化管穿孔の報告は少なく,十二指腸穿孔の報告はない。胃石はときに重篤な転帰をたどる危険性があるため,診断後は内視鏡的破砕術や溶解療法などを試み,治療抵抗性の場合は外科的治療も考慮にいれて治療にあたるべきであると考えられた。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.36.943 |