急性腹症を呈した淋菌性腹膜炎に対して腹腔鏡下ドレナージを行った1例

症例は20歳女性,未経妊。腹痛を主訴に救急外来を受診した。下腹部に強い圧痛を認めた。腹部CTで小腸の拡張像を認め,腹膜炎を疑ったが,虫垂の腫大は目立たなかった。内診で膿性帯下を認め,男性パートナーが淋菌感染症の治療中であったことから骨盤腹膜炎を疑った。疼痛が非常に強く,診断を兼ねた腹腔鏡下手術を行った。骨盤内の小腸や大網が粘度の高い膿で薄く覆われていた。肝周囲炎の所見は認めなかった。腹腔内を洗浄し,ドレーンを挿入して終了した。術後よりセフトリアキソンとミノサイクリンの投与を開始した。術後2日目より疼痛は軽減し,術後4日目に退院した。頸管粘液から淋菌DNAが検出され,急性淋菌性腹膜炎と診断した。...

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Bibliographic Details
Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 36; no. 1; pp. 139 - 142
Main Authors 西﨑, 大輔, 水野, 克彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.36.139

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Summary:症例は20歳女性,未経妊。腹痛を主訴に救急外来を受診した。下腹部に強い圧痛を認めた。腹部CTで小腸の拡張像を認め,腹膜炎を疑ったが,虫垂の腫大は目立たなかった。内診で膿性帯下を認め,男性パートナーが淋菌感染症の治療中であったことから骨盤腹膜炎を疑った。疼痛が非常に強く,診断を兼ねた腹腔鏡下手術を行った。骨盤内の小腸や大網が粘度の高い膿で薄く覆われていた。肝周囲炎の所見は認めなかった。腹腔内を洗浄し,ドレーンを挿入して終了した。術後よりセフトリアキソンとミノサイクリンの投与を開始した。術後2日目より疼痛は軽減し,術後4日目に退院した。頸管粘液から淋菌DNAが検出され,急性淋菌性腹膜炎と診断した。淋菌性腹膜炎は頻度が低いものの疼痛が強く,急性腹症の原因として鑑別する必要がある。早期の腹腔鏡下ドレナージは診断を確定するのみならず,低侵襲で効果的な腹腔内洗浄や入院期間の短縮に有用と思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.139