成人特発性胃破裂の1例
症例は88歳,女性。2016年9月,夜間より突然の腹痛,嘔吐が出現したが,多量の排便後に症状が改善したため経過をみていた。翌朝,意識混濁,冷汗著明な状態で発見された。臨床所見より往診医に低血糖を疑われ,ブドウ糖注射を施行,意識レベルの回復を認めた後,当院救急外来を受診した。来院時,意識レベル清明,ショックバイタル,腹部膨満を認め,腹部CT検査で,多量の腹水とfree airが認められた。救急室で,再び意識レベルの低下を認め,上部消化管穿孔,敗血症性ショックの診断で緊急手術となった。開腹すると,腹腔内に大量の食物残渣と混濁腹水,胃体上部後壁に壊死を伴う約5cmの破裂孔を認め,胃局所切除術,洗浄ド...
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Published in | Nihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 37; no. 7; pp. 1047 - 1051 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2017
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine |
Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.37.1047 |
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Summary: | 症例は88歳,女性。2016年9月,夜間より突然の腹痛,嘔吐が出現したが,多量の排便後に症状が改善したため経過をみていた。翌朝,意識混濁,冷汗著明な状態で発見された。臨床所見より往診医に低血糖を疑われ,ブドウ糖注射を施行,意識レベルの回復を認めた後,当院救急外来を受診した。来院時,意識レベル清明,ショックバイタル,腹部膨満を認め,腹部CT検査で,多量の腹水とfree airが認められた。救急室で,再び意識レベルの低下を認め,上部消化管穿孔,敗血症性ショックの診断で緊急手術となった。開腹すると,腹腔内に大量の食物残渣と混濁腹水,胃体上部後壁に壊死を伴う約5cmの破裂孔を認め,胃局所切除術,洗浄ドレナージを施行した。術後ICU管理を行ったが,ショック状態から離脱できず,DICの進行を認め術後8日目に死亡した。成人に発生する特発性胃破裂は極めてまれで,予後不良な疾患であるため報告する。 |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.37.1047 |