結核病床を有さない病院でのインターフェロン-γリリースアッセイを用いた結核感染対策

結核の接触者検診にはインターフェロン-γリリースアッセイ(QFT)が推奬されているが,結核病床を有さない一般病院での導入は十分でなく,運用法も一律でない.当院は接触者検診にQFTを導入し,アルゴリズムを用いた運用を行った.(方法)塗抹検査陽性の肺結核で,空気感染予防策がされていない事例に接触者検診を実施した.曝露後2週間以内に曝露時検査(ベースライン検査)を行い,曝露後8-12週間後に再度QFTを行った(曝露後検査).曝露後2週間以上経過し,ベースライン検査を行わないものは曝露後検査のみ行った.曝露後検査が判定保留,判定不可の場合4-8週間後に再度をQFT行った(曝露後再検査).(結果) 23...

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Published in日本環境感染学会誌 Vol. 26; no. 4; pp. 215 - 221
Main Authors 高橋, 佳子, 石原, 美佳, 一木, 薫, 和田, 恭直, 竹末, 芳生, 中嶋, 一彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本環境感染学会 2011
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ISSN1882-532X
1883-2407
DOI10.4058/jsei.26.215

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Summary:結核の接触者検診にはインターフェロン-γリリースアッセイ(QFT)が推奬されているが,結核病床を有さない一般病院での導入は十分でなく,運用法も一律でない.当院は接触者検診にQFTを導入し,アルゴリズムを用いた運用を行った.(方法)塗抹検査陽性の肺結核で,空気感染予防策がされていない事例に接触者検診を実施した.曝露後2週間以内に曝露時検査(ベースライン検査)を行い,曝露後8-12週間後に再度QFTを行った(曝露後検査).曝露後2週間以上経過し,ベースライン検査を行わないものは曝露後検査のみ行った.曝露後検査が判定保留,判定不可の場合4-8週間後に再度をQFT行った(曝露後再検査).(結果) 23事例で,医療従事者,学生,同室患者あわせて434名の検診を行った.ベースライン陰性から陽転したのは5/215名(1.4%),陰性から判定保留へは9/215名(4.2%)であった.曝露後再検査で2/10名が陽性となった.曝露後検査のみの事例では9/159名(5.8%)が陽性,判定保留18/159名(11.3%)であり,判定保留15名の再検査で2名(13.3%)が陽性となった.(考察) QFTを導入することにより,感染の有無を明確化でき,実効性のある院内結核感染が可能となった.接触後検査のみの事例では,直近の曝露による感染か否か不明であり,入職時検診のQFT検査の導入が必要と考えられた.
ISSN:1882-532X
1883-2407
DOI:10.4058/jsei.26.215