オフポンプ冠動脈バイパス術中に冠動脈内に空気塞栓が生じ心停止を来たした一症例

労作性狭心症と診断された78歳の男性に対してオフポンプバイパス手術が施行された。心臓脱転下に大伏在静脈の右冠動脈への吻合を開始した後,急激な徐脈と血圧低下に引き続き心停止となった。心臓ペーシングは無効であり,心臓マッサージと心血管作動薬の投与でも速やかな自己心拍再開は得られなかった。経食道心エコーで上行大動脈に多量の気泡像を認めたため冠動脈空気塞栓が心停止の原因として疑われた。空気除去により自己心拍再開が得られた。吻合中の無血視野確保を目的として使用した圧縮空気ブロアーにより,空気が吻合部より側副血行路を介して中隔穿通枝から左前下行枝に入り,末梢側および逆行性に上行大動脈側に送気され,これが原...

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Published inCardiovascular Anesthesia Vol. 21; no. 1; pp. 105 - 108
Main Authors 外須, 美夫, 住江, 誠, 辛島, 裕士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会 2017
日本心臓血管麻酔学会
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ISSN1342-9132
1884-7439
DOI10.11478/jscva.2017-3-001

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Summary:労作性狭心症と診断された78歳の男性に対してオフポンプバイパス手術が施行された。心臓脱転下に大伏在静脈の右冠動脈への吻合を開始した後,急激な徐脈と血圧低下に引き続き心停止となった。心臓ペーシングは無効であり,心臓マッサージと心血管作動薬の投与でも速やかな自己心拍再開は得られなかった。経食道心エコーで上行大動脈に多量の気泡像を認めたため冠動脈空気塞栓が心停止の原因として疑われた。空気除去により自己心拍再開が得られた。吻合中の無血視野確保を目的として使用した圧縮空気ブロアーにより,空気が吻合部より側副血行路を介して中隔穿通枝から左前下行枝に入り,末梢側および逆行性に上行大動脈側に送気され,これが原因で左冠動脈領域に広範囲に空気塞栓が発生したと推測された。
ISSN:1342-9132
1884-7439
DOI:10.11478/jscva.2017-3-001