膀胱憩室穿孔による敗血症性ショックにおいて短時間に門脈ガスおよび静脈ガスが出現した1例

門脈ガス血症は消化器疾患に伴うことが多く,静脈ガス血症は外傷や医原性で発症するとされるが両者の合併はまれである。今回われわれは膀胱憩室穿孔による敗血症性ショックの経過中に短時間に門脈ガスおよび静脈ガスの出現を認めた症例を経験したので報告する。症例は80歳,男性。前立腺肥大症による尿閉のため自己導尿管理であった。食思不振,呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された。腹部は膨満し硬く,腹部CT検査で膀胱憩室穿孔を疑い,膀胱カテーテル挿入と膀胱洗浄を施行した。しかし血圧低下,ショックに移行し,110分後に再検したCT検査で門脈内ガス,両側大腿静脈ガス,腹腔内遊離ガスを認めた。緊急開腹手術で膀胱憩室穿孔と膿...

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Published inNihon Fukubu Kyukyu Igakkai Zasshi (Journal of Abdominal Emergency Medicine) Vol. 38; no. 1; pp. 081 - 087
Main Authors 坂東, 正, 奥村, 知之, 長田, 拓哉, 三輪, 武史, 清水, 哲朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2018
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.081

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Summary:門脈ガス血症は消化器疾患に伴うことが多く,静脈ガス血症は外傷や医原性で発症するとされるが両者の合併はまれである。今回われわれは膀胱憩室穿孔による敗血症性ショックの経過中に短時間に門脈ガスおよび静脈ガスの出現を認めた症例を経験したので報告する。症例は80歳,男性。前立腺肥大症による尿閉のため自己導尿管理であった。食思不振,呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された。腹部は膨満し硬く,腹部CT検査で膀胱憩室穿孔を疑い,膀胱カテーテル挿入と膀胱洗浄を施行した。しかし血圧低下,ショックに移行し,110分後に再検したCT検査で門脈内ガス,両側大腿静脈ガス,腹腔内遊離ガスを認めた。緊急開腹手術で膀胱憩室穿孔と膿性腹水を認め,穿孔閉鎖術,ドレナージ術を行ったが,多臓器不全を合併し手術から40時間後に死亡した。本症例は腹膜炎,敗血症性ショックにより門脈ガスを形成し,静脈系へ流入した可能性が考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.081