政府管掌健康保険データを用いた生活習慣病リスクの曝露と10年後の医療費発生状況との関係に関する研究
目的 政府管掌健康保険(以下「政管健保」とする)の被保険者本人を単位とし,生活習慣病予防健診結果と診療報酬明細書(レセプト)データを接合したデータセットを用いてリスク曝露状況が10年後の医療費に与える影響について検討した。 方法 北海道,長野県,福岡県の政管健保被保険者本人うち,平成6年度から平成16年度のすべての健診を受けていたものを対象とし,その間のリスク曝露状況と平成16年度の医療費発生状況との関係を分析した。医療費は対数に変換し,リスクとの関係の検討においては性,年齢,検査項目,県で調整した共分散分析を実施した。 結果 性,年齢,検査項目,県を調整したリスク曝露年数と医療費との関係では...
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Published in | 医療と社会 Vol. 17; no. 2; pp. 181 - 194 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 医療科学研究所
2007
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9202 1883-4477 |
DOI | 10.4091/iken.17.181 |
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Summary: | 目的 政府管掌健康保険(以下「政管健保」とする)の被保険者本人を単位とし,生活習慣病予防健診結果と診療報酬明細書(レセプト)データを接合したデータセットを用いてリスク曝露状況が10年後の医療費に与える影響について検討した。 方法 北海道,長野県,福岡県の政管健保被保険者本人うち,平成6年度から平成16年度のすべての健診を受けていたものを対象とし,その間のリスク曝露状況と平成16年度の医療費発生状況との関係を分析した。医療費は対数に変換し,リスクとの関係の検討においては性,年齢,検査項目,県で調整した共分散分析を実施した。 結果 性,年齢,検査項目,県を調整したリスク曝露年数と医療費との関係では,リスク曝露年数区分別に平成16年度患者1人当たり医療費をみると,血圧,代謝系では,リスク曝露年数が多くなるにしたがって,医療費が高くなっていた。BMIでは血圧,代謝系ほど顕著ではないが,リスク曝露年数が多くなると医療費が高くなっていた。脂質でリスク曝露年数区分別に医療費の差がみられたのは「1-3年」と「7-9年」の群の間だけであった。 結論 BMI,血圧,代謝系のリスク曝露蓄積年数と医療費に関係があることが示唆され,医療費予測の視点から検査結果を継続的に観察することに意義があると考えられる。 |
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ISSN: | 0916-9202 1883-4477 |
DOI: | 10.4091/iken.17.181 |