乳房に転移した中枢神経系悪性リンパ腫の1例

症例は88歳の女性.デイケアサービス入浴介助時,職員により左乳房腫瘤を見つけられた.腫瘍は大きく自壊する可能性もあり,ADL維持のためには治療が必要と考えられた.重度認知症のため安静が保てず覚醒状態での生検が困難な患者であり,診断と治療を兼ね低侵襲な鎮静下での単純乳房切除を行った.組織診では1年8カ月前に診断され,手術治療後の脳(中枢神経系)原発悪性リンパ腫の転移であった.乳房切除は短時間の手術であったが,術翌日の退院後に脳梗塞をきたし,結果的にADLは低下した.中枢神経系悪性リンパ腫の単独での乳房転移は極めて稀であり,高齢重度認知症患者の乳房腫瘤の治療方針についても考察を加え報告する....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 9; pp. 1565 - 1569
Main Authors 山元, 康義, 北浜, 誠一, 向井, 友一郎, 三原, 俊彦, 大浦, 康宏, 桃野, 鉄平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1565

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Summary:症例は88歳の女性.デイケアサービス入浴介助時,職員により左乳房腫瘤を見つけられた.腫瘍は大きく自壊する可能性もあり,ADL維持のためには治療が必要と考えられた.重度認知症のため安静が保てず覚醒状態での生検が困難な患者であり,診断と治療を兼ね低侵襲な鎮静下での単純乳房切除を行った.組織診では1年8カ月前に診断され,手術治療後の脳(中枢神経系)原発悪性リンパ腫の転移であった.乳房切除は短時間の手術であったが,術翌日の退院後に脳梗塞をきたし,結果的にADLは低下した.中枢神経系悪性リンパ腫の単独での乳房転移は極めて稀であり,高齢重度認知症患者の乳房腫瘤の治療方針についても考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1565