循環器疾患患者におけるプロービング時の出血の有無と全身的因子の関連の検討
目的 : 歯周病は罹患率の高い感染症であり, プロービング時の出血 (BOP) は局所の炎症程度を表す指標として歯周病検査に導入されている. 歯周病と全身の関連が示されているが, 主な歯周病指標として歯周ポケット深さやクリニカルアタッチメントレベルなど歯周組織破壊の程度が用いられ, BOPと全身の関係についての報告は少ない. 以上のことから本研究の目的は, BOPと関連のある全身的因子を検討することとした. それに加えて, 自己記入式アンケートの回答とBOPの関連も検討した. 対象と方法 : 本研究の被験者として, 2012年から2015年に東京医科歯科大学医学部附属病院循環器内科病棟に入院し...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 64; no. 2; pp. 163 - 170 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
2021
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.64.163 |
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Summary: | 目的 : 歯周病は罹患率の高い感染症であり, プロービング時の出血 (BOP) は局所の炎症程度を表す指標として歯周病検査に導入されている. 歯周病と全身の関連が示されているが, 主な歯周病指標として歯周ポケット深さやクリニカルアタッチメントレベルなど歯周組織破壊の程度が用いられ, BOPと全身の関係についての報告は少ない. 以上のことから本研究の目的は, BOPと関連のある全身的因子を検討することとした. それに加えて, 自己記入式アンケートの回答とBOPの関連も検討した. 対象と方法 : 本研究の被験者として, 2012年から2015年に東京医科歯科大学医学部附属病院循環器内科病棟に入院した循環器疾患患者927名を対象とした. 患者に対し歯周病検査を実施し, 医科的な既往歴や検査値について診療録からデータを採取した. 自己申告のアンケートにより, 自覚的な歯周組織の状態を聴取した. 結果 : BOPと関連のある因子として, 男性, 喫煙, 肥満, 糖尿病, 高血圧が認められた. 一方, 年齢, 脂質異常症については, BOPとの関連を認めなかった. アンケート調査による歯や歯肉の健康への不安がある者では, 高いBOPを認めた. 多変量解析により解析したBOPとの関連が強い因子は, 肥満, 喫煙, 性別であった. 結論 : 循環器疾患患者を対象とした今回の研究結果から, 肥満の者や喫煙者, 糖尿病患者, 高血圧症患者では高いBOPが認められ, 肥満と喫煙については性別を調整したうえでもBOP高値との関連を認めた. 一方, 脂質異常症とBOPとの相関は認められなかった. アンケート結果から, 歯や歯肉の健康状態を把握していないあるいは不安を感じている者でBOP高値が認められた. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.64.163 |