小児特発性ネフローゼ症候群初発時に血液透析を要した5例の臨床的検討

初発時に血液透析を要した小児特発性ネフローゼ症候群に伴う急性腎障害の5例を検討した.男児が4例で,発症年齢は1~3歳であった.全例で乏尿・無尿,2例で呼吸不全を認め,血液透析の適応とした.体重増加率の平均は46%であった.発症から血液透析開始まで14日以内が2例,1か月以上が3例であった.微小変化型が3例,巣状分節性糸球体硬化症が1例であった.平均血液透析期間は16日(6~42日)で,2例が腹膜透析に移行したが,1例は離脱し腎機能障害を残さなかった.巣状分節性糸球体硬化症の症例は末期腎不全となり,腎移植を行った.ネフローゼ症候群に伴う急性腎障害の発症時期として,発症早期とステロイド不応時という...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 37; pp. 117 - 121
Main Authors 藤井, 隆大, 久富, 隆太郎, 藤丸, 季可
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2024
日本小児腎臓病学会
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Summary:初発時に血液透析を要した小児特発性ネフローゼ症候群に伴う急性腎障害の5例を検討した.男児が4例で,発症年齢は1~3歳であった.全例で乏尿・無尿,2例で呼吸不全を認め,血液透析の適応とした.体重増加率の平均は46%であった.発症から血液透析開始まで14日以内が2例,1か月以上が3例であった.微小変化型が3例,巣状分節性糸球体硬化症が1例であった.平均血液透析期間は16日(6~42日)で,2例が腹膜透析に移行したが,1例は離脱し腎機能障害を残さなかった.巣状分節性糸球体硬化症の症例は末期腎不全となり,腎移植を行った.ネフローゼ症候群に伴う急性腎障害の発症時期として,発症早期とステロイド不応時という異なった時期に注意が必要である.また,血清クレアチニン値ではなく尿量や体重増加率を重視して遅滞なく血液透析を導入することで永続的な腎機能障害を防げる可能性が示唆された.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.cr.24-008