MRKH症候群に伴う瘢痕子宮が脱出した鼠径ヘルニアの1例

症例は45歳,女性.体動時の左鼠径部痛を自覚し,前医を受診し鼠径ヘルニアの疑いで当院を紹介となった.腹部CTとMRIで,左鼠径部に腸管とは連続しない軟部組織の脱出を認めた.既往症としてMayer-Rokitansky-Kuster-Hauser syndrome(MRKH症候群)があり,瘢痕子宮の脱出が疑われ,婦人科と合同での腹腔鏡手術の方針とした.腹腔内を観察すると,左鼠径部に卵管および子宮円索と連続する瘢痕子宮を認め,その瘢痕子宮が脱出する滑脱型ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に修復術を行った.疼痛は消失し,現在まで再発なく経過している.MRKH症候群のような性分化疾患では発生学的にはNuck管...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 8; pp. 1350 - 1353
Main Authors 橋田, 真輔, 山本, 澄治, 佃, 和憲, 石村, 昂誠, 池田, 宏国, 沖田, 充司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1350

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Summary:症例は45歳,女性.体動時の左鼠径部痛を自覚し,前医を受診し鼠径ヘルニアの疑いで当院を紹介となった.腹部CTとMRIで,左鼠径部に腸管とは連続しない軟部組織の脱出を認めた.既往症としてMayer-Rokitansky-Kuster-Hauser syndrome(MRKH症候群)があり,瘢痕子宮の脱出が疑われ,婦人科と合同での腹腔鏡手術の方針とした.腹腔内を観察すると,左鼠径部に卵管および子宮円索と連続する瘢痕子宮を認め,その瘢痕子宮が脱出する滑脱型ヘルニアと診断し,腹腔鏡下に修復術を行った.疼痛は消失し,現在まで再発なく経過している.MRKH症候群のような性分化疾患では発生学的にはNuck管を形成し,鼠径ヘルニアを併存しやすいという報告もある.このような稀な病態における脱出臓器の画像による確定診断が困難な鼠径ヘルニアに対して,腹腔鏡手術による診断は有用であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1350