馬蹄腎を伴う腸骨動脈瘤に対するステントグラフト治療の1例—腎動脈下極枝温存のためのデバイス選択

症例は72歳男性.腹痛を主訴に受診し,CT検査で腹部大動脈および腸骨動脈瘤を指摘された.馬蹄腎があり,左腎動脈下極枝が大動脈終末部から76 mm中枢側から分枝していた.腸骨動脈瘤は35 mmであり,また脳出血の既往などがありステントグラフト治療の方針となった.大動脈終末部からの距離が短い場合のデバイス選択として当初AFXを考えたが,大動脈屈曲が強く留置位置によってはファブリックが分枝をカバーする可能性があったこと,また中枢口径が大きくややアンダーサイズになることから,Gore Excluder C3を下方にrepositioningさせて使用することとした.対側脚内でバルーン拡張し,金属マーカ...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 295 - 299
Main Authors 木村, 光裕, 保科, 克行, 芳賀, 真, 西山, 綾子, 赤坂, 純逸, 本橋, 慎也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 22.07.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00020

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Summary:症例は72歳男性.腹痛を主訴に受診し,CT検査で腹部大動脈および腸骨動脈瘤を指摘された.馬蹄腎があり,左腎動脈下極枝が大動脈終末部から76 mm中枢側から分枝していた.腸骨動脈瘤は35 mmであり,また脳出血の既往などがありステントグラフト治療の方針となった.大動脈終末部からの距離が短い場合のデバイス選択として当初AFXを考えたが,大動脈屈曲が強く留置位置によってはファブリックが分枝をカバーする可能性があったこと,また中枢口径が大きくややアンダーサイズになることから,Gore Excluder C3を下方にrepositioningさせて使用することとした.対側脚内でバルーン拡張し,金属マーカーなどが同期して下方に動いていることを注意深く確認しながらrepositioningし下極枝を温存した.術後エンドリークなどもなく同枝も開存,腎機能も良好に推移している.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00020