Budd-Chiari症候群に対する上方到達法による直達手術の1例

Budd-Chiari症候群は肝静脈の流出障害をきたす疾患で,肝硬変や門脈圧亢進症といった進行性の肝障害へと進展しうる.その長期予後の改善には病態の本質である肝静脈の流出解除が重要となる.今回,胸骨正中切開+上腹部開腹による直達手術で閉塞した肝静脈の血流改善を得た症例を経験した.症例は64歳,女性.中肝静脈と左肝静脈の閉塞によるBudd-Chiari症候群に対して胸骨正中切開+上腹部開腹による上方到達法でアプローチした.体外循環を併用して右房から下大静脈を切開し,出血を制御しながら術野を展開した.閉塞した肝静脈を同定し,腫大した肝を切除して閉塞肝静脈を開口させ肝静脈の灌流改善を得た.肝静脈の閉...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 33; no. 1; pp. 21 - 25
Main Authors 竹久保, 賢, 島田, 晃治, 仲村, 亮宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 31.01.2024
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00048

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Summary:Budd-Chiari症候群は肝静脈の流出障害をきたす疾患で,肝硬変や門脈圧亢進症といった進行性の肝障害へと進展しうる.その長期予後の改善には病態の本質である肝静脈の流出解除が重要となる.今回,胸骨正中切開+上腹部開腹による直達手術で閉塞した肝静脈の血流改善を得た症例を経験した.症例は64歳,女性.中肝静脈と左肝静脈の閉塞によるBudd-Chiari症候群に対して胸骨正中切開+上腹部開腹による上方到達法でアプローチした.体外循環を併用して右房から下大静脈を切開し,出血を制御しながら術野を展開した.閉塞した肝静脈を同定し,腫大した肝を切除して閉塞肝静脈を開口させ肝静脈の灌流改善を得た.肝静脈の閉塞が主因のBudd-Chiari症候群おいて,体外循環を併用した上方到達法での肝静脈血流改善の手技は有用であると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00048