本土各地で確認された家屋害虫フシナガニセハリアリ

「はじめに」近年, 日本各地の工場内において正体不明の羽アリが発生しており, それが単一の種であるのか複数種を含むものであるのかも判明せず, 種の確定が急がれていた. これらの種の発生はここ10年ほど前から増加し始め, 近年さらに急増した. 例えば工場の製造室内で1つのライトトラップに月に数十から100頭以上の有翅個体が捕獲されたこともあり, 工場内での年間捕獲数は1,000頭を超える場合もある. 今回, 北海道から九州までの各地で発生したこれらのアリサンプルを収集し, 確認したところ, 外来種のフシナガニセハリアリHypoponera ragusai(Emery)であることが判明した. 本種...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 71; no. 1; pp. 51 - 54
Main Authors 富岡, 康浩, 木村, 悟朗, 寺山, 守, 神戸, 嘉一, 谷川, 力
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 25.03.2020
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ISSN0424-7086
2185-5609
DOI10.7601/mez.71.51

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Summary:「はじめに」近年, 日本各地の工場内において正体不明の羽アリが発生しており, それが単一の種であるのか複数種を含むものであるのかも判明せず, 種の確定が急がれていた. これらの種の発生はここ10年ほど前から増加し始め, 近年さらに急増した. 例えば工場の製造室内で1つのライトトラップに月に数十から100頭以上の有翅個体が捕獲されたこともあり, 工場内での年間捕獲数は1,000頭を超える場合もある. 今回, 北海道から九州までの各地で発生したこれらのアリサンプルを収集し, 確認したところ, 外来種のフシナガニセハリアリHypoponera ragusai(Emery)であることが判明した. 本種は, ハリアリ亜科Ponerinaeに属し, その中で世界に最も広く分布を広げた放浪アリの一種である. 日本でも, これまでに南西諸島(寺山ら, 2014)や四国(伊藤, 2001)からの記録があるが, 北海道, 本州, 九州からは初記録となる.
ISSN:0424-7086
2185-5609
DOI:10.7601/mez.71.51