急性期の穿通枝梗塞における症状の進行要因と進行後の早期回復要因の検討
【背景および目的】穿通枝梗塞では,治療開始後も症状が進行することがある.中には,進行後早期に回復する例もあるが,その要因は明らかでない.本研究の目的は,穿通枝梗塞における症状の進行と進行後の早期回復要因を明らかにすることである.【方法】発症48時間以内の穿通枝梗塞患者を対象に,2年7カ月間の後ろ向き調査を行った.入院5日目までにNIHSSが2点以上上昇した進行群と非進行群で,背景因子や転帰を比較した.さらに,進行群のうち3日以内に入院時NIHSSまで改善した群を回復群とし,非回復群と比較した.【結果】解析対象は255例であった.進行群は67例で,年齢が高く,脂質異常症の割合が高かった.回復群は...
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Published in | 脳卒中 Vol. 47; no. 2; pp. 99 - 106 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2025
日本脳卒中学会 |
Subjects | |
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Summary: | 【背景および目的】穿通枝梗塞では,治療開始後も症状が進行することがある.中には,進行後早期に回復する例もあるが,その要因は明らかでない.本研究の目的は,穿通枝梗塞における症状の進行と進行後の早期回復要因を明らかにすることである.【方法】発症48時間以内の穿通枝梗塞患者を対象に,2年7カ月間の後ろ向き調査を行った.入院5日目までにNIHSSが2点以上上昇した進行群と非進行群で,背景因子や転帰を比較した.さらに,進行群のうち3日以内に入院時NIHSSまで改善した群を回復群とし,非回復群と比較した.【結果】解析対象は255例であった.進行群は67例で,年齢が高く,脂質異常症の割合が高かった.回復群は初期治療でアルガトロバンの使用率が高かったが,非回復群と比較し退院時の機能的転帰に有意差はなかった.【結論】穿通枝梗塞の進行後の早期回復にアルガトロバンが関与する可能性はあるが,良好な転帰には繋がらなかった. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11278 |